心筋炎の主な原因はウイルス感染だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と心筋炎の関連についても複数報告されている。米疾病対策センター(CDC)COVID-19対策チームは、900超の医療施設における診療データを用いてCOVID-19と心筋炎の関係を評価した。その結果、COVID-19パンデミック期間の2020年3月〜21年1月にCOVID-19と診断された患者の心筋炎発症リスクは非COVID-19患者に比べて15.7倍であること、16歳未満および高齢者ではリスクが高まることをMMWR Morb Mortal Wkly Rep (2021年8月31日オンライン版)に報告した。

2020年に心筋炎患者が4割増

 対策チームは、米病院保険管理データベースPremier Healthcare Database Special COVID-19 Release(PHD-SR)から取得した2019年1月〜21年5月における心筋炎診療数、COVID-19患者数を集計し、COVID-19パンデミック期間(2020年3月〜21年1月)の全ての入院/外来患者を対象にCOVID-19と心筋炎の関係を評価した。なお、COVID-19ワクチン関連心筋炎によるバイアスを防ぐため、2020年12月〜21年2月にワクチン接種記録のある27万7892例を除外した他、データが欠損していた3万7,896例も除外した。

 2020年の心筋炎患者は4,560例で、2019年の3,205例と比べ42.3%増加していた。また、心筋炎患者数は2020年4〜5月と2020年11月〜21年1月にピークが見られたが、これはCOVID-19患者数のピークと一致していた。

COVID-19患者の心筋炎発症率は0.146%

 COVID-19パンデミック期間(2020年3月〜21年1月)における3,600万5,294例の内訳は、COVID-19患者が145万2,773例(4.0%)、非COVID-19患者が3,455万2,521例で、心筋炎患者数(2021年2月の診断例を含む)は5,069例であった。心筋炎患者のうち2,116例(41.7%)がCOVID-19の既往を有していた。COVID-19と心筋炎の診断時期は1,895例(89.6%)が同月、139例(6.6%)がCOVID-19の診断から1カ月後、82例(3.9%)2カ月以上後であった。

 COVID-19患者の心筋炎発症率は0.146%で、女性よりも男性で高く(0.109% vs. 0.187%)、年齢別に見ると発症率が高い順に75歳以上(0.238%)、65〜74歳(0.186%)、50〜64歳(0.155%)、16歳未満(0.133%)、40〜49歳(0.107%)、16歳〜24歳(0.098%)、25〜39歳(0.077%)であった。非COVID-19患者では0.009%だった。

ワクチン接種を含むCOVID-19予防策の実践が重要

 患者背景や医療施設の特性などを調整後の解析では、COVID-19非患者に対するCOVID-19患者の心筋炎発症リスク比は15.7(95%CI 14.1〜17.2、図-A)であった。ただし、いずれも心筋炎発症率が低いためリスク差は0.125%(同0.112%〜0.140%、図-B)と小さかった。また、年齢別に見ると25〜39歳で最もリスクが低く、16歳未満(調整後リスク比36.8、95%CI 25.0〜48.6)および75歳以上(同31.6、25.9〜37.2)で高かった()。

図. COVID-19罹患の有無別に見た心筋症発症リスク(A:リスク比、B:リスク差)

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 以上から、CDC COVID-19対策チームは「心筋炎の発症頻度はCOVID-19罹患の有無にかかわらずまれであるものの、COVID-19が心筋炎リスク増と有意に関連しており、リスクの度合いは年齢層によって異なることが示された。COVID-19およびCOVID-19に関連する合併症のリスクを減らす上で、ワクチン接種を含むエビデンスに基づくCOVID-19予防策の実践が重要である」と強調している。

長谷川愛子

変更履歴(2021年9月6日):論文の表記に一部誤字があり、修正しました