東京都が昨日(9月2日)に開催した第61回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議の報告によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者に占める20歳未満(10歳未満および10歳代)の割合が4週間連続で増加しており、直近の今年(2021年)8月24~30日の報告では新規新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性例全体の2割近くまで拡大していることが判明した。会議では「新規陽性者は若年・中年層中心へと変化した。インド型変異(デルタ)株などの感染力は強く、感染の中心である10歳未満、若年層を含めたあらゆる世代が感染リスクを有しており、新学期を迎えた学校生活での感染防止対策の徹底が求められる」と警鐘を鳴らしている。

10歳代は10.6%、10歳未満は7.1%に拡大

 会議では、8月24~30日の東京都のSARS-CoV-2感染状況や医療提供体制の分析結果が報告された。それによると、新規のSARS-CoV-2陽性者数の7日間平均は、8月19日に約4,702人/日と過去最多を更新した後、9月1日時点で3,290人/日と減少した。お盆休みによる人流減少の影響を受けて、新規陽性者数が一時的に減少した可能性があるとされる。ただし、いまだ第三波のピーク時の1.8倍に相当する、1日当たり3,200人を超える新規陽性者が発生しており、極めて高い値が継続している。

 注目すべきは、新規陽性者の中心が若年世代にシフトしていることだ。年齢層別に見ると、40歳以上の34.5%に対し、30歳代以下は65.5%と7割近くを占めた。中でも、8月以降に見られた変化として、10歳未満は7.1%、10歳代は10.6%と20歳未満が17.7%を占めるまで拡大していることが挙げられる。

 5月上旬からの推移を見ると、10歳未満の新規陽性者は5月11日~8月9日には3~4%台だったが、8月10日の週に5%台に増加。その後、8月17日の週に5.7%、8月24日の週に7.1%と急拡大している。一方、10歳代の新規陽性者は、5月11日~7月19日まで6~7%台で推移(6月22日の週のみ10.7%)していたが、7月20日~8月9日は8%台で推移し、その後徐々に拡大し、8月10日の週には9%台に達した。以降も、8月17日の週には10.1%、8月24日の週はさらに増え10.6%と増加を続けている()。

図. 年齢層別に見たSARS-CoV-2新規陽性者数の推移

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(第61回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より抜粋)

小児間または小児から親への感染に要注意

 夏休みが明けて、9月に多くの学校で新学期が始まり、登校が再開する動きが出ていることで、さらなる小児の感染増加が危惧されている。これまで小児は感染しにくいといわれていたSARS-CoV-2だが、従来株より感染力が強いとされるデルタ株が猛威を振るう中、都内では9月1日時点の速報値でデルタ株が94%(8月16~22日)となり、流行の主体がデルタ株にほぼ置き換わったことの影響は大きい。

 デルタ株の急拡大に伴い、全国的に学校でのクラスター発生が相次ぎ、東京都は「若年層への感染拡大に警戒が必要」と危機感を示している。こうした背景の下、日本小児科学会が8月30日に公表した国内小児COVID-19症例のレジストリ調査の結果によると、幼稚園・保育所での感染割合および小児間での感染割合が増加傾向にあることが示された(関連記事「COVID-19小児-小児感染が増加傾向」)。今年7月1日~8月17日の小児COVID-19患者331例の感染経路を分析した結果、家族内感染が72%、学校での感染は4%で、昨年年2月1日~今年6月30日の調査結果(家族内感染は70%、学校での感染は6%)と大きな変化はなかったものの、幼稚園・保育所での感染割合は昨年調査の6%から9%に増加していたという。

 さらに危惧されるのは家庭内での子供から同居家族への感染である。昨日の大阪府の発表では、府内の施設で生じたクラスター例を分析した結果、約3割で子供が家庭にウイルスを持ち込み、親が感染する逆流現象が報告された。国内の感染状況が新たなフェーズに入ったことを念頭に置き、さらなる感染対策の強化が求められている。

小児に感染が広がる中でも、対策の議論は置き去りに

 デルタ株の小児における感染の蔓延が顕著になっているにもかかわらず、小児の感染対策についての議論はいまだ置き去りにされたままだ。こうした中、東京都は保育園や学童クラブ、高校、大学の部活動、学生寮などでの感染事例が多数報告され、さらに新学期の開始に伴う通学による接触機会の増加を契機に、「家庭などへの感染拡大が危惧される」と指摘。旅行は控える、部活動や学校行事を含む学校生活、学習塾などにおける基本的な感染防止対策をあらためて徹底するといった協力を求めているものの、こうした従来行われている感染対策には限界がある。

 デルタ株については小児での感染性が高いといった明確なエビデンスはないが、特に保育園や幼稚園などの施設の乳幼児がマスクなしで過ごす例も多く、ひとたび感染例が発生すると従来以上のスピードで感染が広がる懸念がある。また小児が感染した場合、受け入れる施設や医師が限られることから、感染者が急増すると病床が逼迫する恐れもある。

 感染・重症化予防の切り札として期待されるのがSARS-CoV-2ワクチンの接種である。12歳以上の小児への接種推進とともに、現在対象外となっている12歳未満の小児へのワクチンの実用化が急がれる。

(小沼紀子)