菅義偉首相が退陣する意向を表明したことを受け、経済界では「非常に驚いた」(経団連の十倉雅和会長)との声が上がるなど衝撃が広がった。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、日本経済は立て直しに向けて課題が山積している。今後発足する次期政権に対しては、コロナ対策をはじめ重要政策の切れ目ない推進を期待する声が相次いだ。
 ちょうど1年前の昨年9月に就任した菅首相は、安倍晋三前政権の経済政策「アベノミクス」の継承を掲げてきた。さらに、コロナ後の成長をにらんで社会のデジタル化や脱炭素化にも力を入れたが、感染防止策では後手に回ったとの批判を浴び続けてきた。
 十倉氏は3日夕、記者団に対し「ワクチン接種のスピードは首相の強いリーダーシップがなければ実現しなかった」と政権運営に一定の評価を示した。その上で「コロナ対策に一刻の遅れも許されない」と突然の辞任による混乱の回避を求めた。
 政府の経済財政諮問会議(議長・菅首相)で民間議員を務めるサントリーホールディングスの新浪剛史社長は、デジタル化など菅政権の看板政策について「日本の将来にとって不可欠であり、しっかり引き継いでいくことが重要だ」と指摘。温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロとする政府目標に関しても、大手電力会社の関係者は「脱炭素化へ大きな流れができた。方向性は誰が首相になっても変わらない」と述べ、対応を続ける考えを示した。
 一方、菅政権に携帯電話料金の引き下げを迫られた通信会社は、退陣について「業界のマイナスにはならないだろう」(関係者)と冷淡な反応を見せていた。 (C)時事通信社