2019年に米国で承認された、統合失調症治療薬lumateperone。従来薬とは異なる機序を有する同薬の安全性および忍容性について、米・Feinstein Institute for Medical ResearchのJohn M. Kane氏らは、複数のランダム化比較試験(RCT)のデータをプール解析し、結果をInt Clin Psychopharmacol2021; 36: 244-250)に報告した。

RCT 3件・1,000例超を解析

 従来の抗精神病薬は、安全性や忍容性が薬剤ごとに大きく異なる上、体重増加や代謝機能不全といった課題を抱えている。こうした中、2019年に米食品医薬品局(FDA)に承認された統合失調症治療薬lumateperoneはセロトニン、ドパミン、グルタミン酸による神経伝達を同時に調節するという既存薬にない作用機序を有しており、高い安全性および忍容性が期待されている。

 そこでKane氏らは、入院中の統合失調症患者を対象としたRCT35件・1,073例をプール解析し、安全性と忍容性について検討した。対象の内訳はプラセボ群412例、lumateperone群406例、セロトニン・ドパミン遮断薬リスペリドン群255例で、lumateperone群は42mg/日、リスペリドン群は4mg/日を投与。

 主な患者背景は平均年齢がプラセボ群42歳、lumateperone群41歳、リスペリドン群42歳、男性はそれぞれ77.7%、73.6%、80.4%、平均体重は85.8kg、87.2kg、88.1kg、統合失調症診断からの平均期間は17.3年、16.5年、17.3年であった。

治療中断率はプラセボと同等

 プラセボ群と比較したlumateperone群およびリスペリドン群の治療関連有害事象(TEAE)の発現率について検討した。その結果、1つ以上のTEAEの発現率はlumateperone群65.8%、リスペリドン群68.6%といずれもプラセボ群の55.6%と比べ高く、治療薬によるTEAEに限定したところlumateperon郡52.2%、リスペリドン郡55.3%、プラセボ群39.1%であった。なお、lumateperone群とリスペリドン群では眠気/鎮静および口渇が5%以上で出現し、プラセボ群の2倍以上であった。

 TEAEによる治療中断率についても検討した結果、リスペリドン群の4.7%(12例)に対し、lumateperone群およびプラセボ群はともに0.5%(2例)と低かった。治療薬によるTEAEに起因する治療中断率も同様であった。その他、錐体外路症状(EPS)の出現はlumateperone群3.0%、リスペリドン群6.3%、プラセボ群3.2%で、lumateperone群はプラセボ群と同等であった。

 今回の結果から、Kane氏らは「lumateperoneの安全性プロファイルはプラセボと同等であり、新たな有害事象は個々のRCTにおいても報告されなかった。TEAEは大半が軽症でEPSの出現もまれだった」と指摘。「統合失調症患者に対するlumateperone 42mg/日投与の安全性および忍容性が示された」と締めくくっている。

松浦庸夫