東京五輪に続き東京パラリンピックが閉会し、一連の「スポーツの祭典」が終わった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)下で決行した菅義偉首相は政権の「体力」を奪われ、退陣表明に追い込まれた。大会経費の巨額赤字をどう穴埋めするかという重い課題は「ポスト菅」に持ち越される。来年2月に開幕する北京冬季五輪「ボイコット」論への対応も今後焦点となる。
 首相は6日、パラ閉幕を受けて大会組織委員会の橋本聖子会長らと首相官邸で面会した。「世界に向けて(選手の)皆さんの活躍は大きな感動を伝えてくれた」と称賛。「コロナ禍でパラリンピックを開催することができて、私もほっとしている」と語った。
 ただ、五輪・パラは政権浮揚につながらなかった。当初、開催をめぐって世論の賛否を二分したものの、大会運営は大きな混乱もなく、日本のメダルラッシュも影響して好意的な受け止めが広がった。それでも、医療逼迫(ひっぱく)、長引く自粛生活への不満・批判が政府に向かった。首相の力が尽き、自民党総裁選への出馬を断念したのはパラ閉幕の2日前だった。
 大会が感染拡大につながったとの見方について、政府は一貫して否定し続けた。加藤勝信官房長官は6日の記者会見で「安心・安全な大会を無事終えることができた」と総括。政府関係者は「そもそも(五輪を)やらないという選択肢はなかった」と振り返った。
 一方、膨らみ続けた大会経費の検証や赤字補填(ほてん)は次期首相の重荷となる。招致時に7340億円と見積もった経費は、人件費や資材価格の高騰に加え、感染対策や延期費用も重なり、昨年末段階で計1兆6440億円に。大半の会場が無観客となり、900億円を見込んだチケット収入も当てが外れた。赤字を補う負担を東京都と国がどう分担するかが問題となる。
 北京冬季五輪をめぐっては、欧米各国で中国の人権侵害への反発から「外交ボイコット」論が浮上する。自民党の保守系議員の中に同調する声もあり、首相後継を決める党総裁選で「ポスト菅」の見解が問われる可能性もある。
 ◇退陣ジンクス、今回も
 五輪開催年に首相が交代するというジンクスは今回も続いた。1964年の前回東京大会では池田勇人首相(当時、以下同)が病気を理由に閉会式翌日に退陣を表明。72年の札幌冬季五輪を迎えた佐藤栄作首相はこの年、8年近くに及ぶ長期政権を終えた。98年の長野冬季五輪に臨んだ橋本龍太郎首相は同年夏の参院選で大敗、総辞職した。菅政権退陣について、政府関係者は「(五輪に)かなりのエネルギーを使った」と認めた。 (C)時事通信社