日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会は9月3日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体カクテル療法カシリビマブ/イムデビマブ(商品名ロナプリーブ)について、「国内で認可され12歳以上かつ体重40kg以上の小児患者に対しても使用可能となったものの、小児に対する有効性および安全性の情報が乏しいため、一律の投与は推奨せず、症例ごとに判断し使用すること」との見解を示した。

15歳以下の小児を対象とした臨床試験の報告なし

 カシリビマブ/イムデビマブは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白質に対する中和作用を有する2種の完全ヒトモノクローナル抗体(REGN10933/REGN10987)を組み合わせた抗体製剤である。今年(2021年)7月19日にCOVID-19治療薬として特例承認を取得。酸素投与を要さないSARS-CoV-2に感染した成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児を適応とし、COVID-19の重症化抑制、およびワクチンを補完するコロナ対策の切り札として期待されている。

 投与上の注意点としては①高流量酸素または人工呼吸管理を要する患者において症状が悪化したとの報告があり、酸素投与を要さない患者を対象とする②同薬の使用に当たっては、あらかじめ患者または代諾者の文書による同意を得てから投与する③COVID-19発症早期(8日以内)に投与する―ことが挙げられている。

 また、用法・用量はカシリビマブ/イムデビマブそれぞれ600mgを併用し、20分以上かけて単回点滴静注することとされ、成人と小児で同様である。

 同薬の18歳以上のCOVID-19外来患者を対象とした海外の第Ⅰ~Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験において、プラセボ群と比べウイルス量を減らす効果が示されているものの(N Engl J Med 2021; 384: 238-251)、15歳以下の小児を対象とした臨床試験はまだ行われていない。

 北米では、小児感染症専門医、小児感染症専門薬剤師、小児集中治療専門医、小児血液専門医がエキスパートパネルを形成し、公表されている文献などから小児および思春期のCOVID-19患者に対する2種類の抗体製剤、bamlanivimabとカシリビマブ/イムデビマブの使用に関する提言を発表。昨年12月20日時点において、「2つの抗体製剤は小児および思春期のCOVID-19患者に対する有効性、安全性に関する情報が乏しく、基礎疾患を有する患者も含め、一律の投与は推奨しない。投与に当たっては、個々の症例ごとに判断し、使用することを検討する」としており、同様のコメントはUpToDateのCOVID-19:Management in childrenにも記載されていると紹介している。

(渕本 稔)