政府は新型コロナウイルス対策の行動制限について、ワクチンが接種済みなどを条件に緩和していく方針を固めた。10月にも実証実験を始め、感染状況の改善などを見極めながら、飲食店での酒類提供や大規模イベントの観客数の制限を緩める。9日にも政府対策本部で基本方針を正式決定する。政府関係者が8日、明らかにした。
 現在、緊急事態宣言が発令されている都道府県では、酒類やカラオケを提供する飲食店に休業を求め、それ以外の飲食店にも午後8時までの営業時間短縮を要請。大規模イベントの開催は参加人数の上限を「5000人かつ収容定員の50%」に設定し、午後9時までとしている。
 「4人まで」を呼び掛けている会食ルールや、県境を越えた移動自粛も緩和。旅行などで割引の適用も想定する。条件として、ワクチン接種以外にPCR検査での陰性証明も認める方向だ。
 加藤勝信官房長官は8日の記者会見で、制限緩和に関し「ワクチン接種が進む中、感染者に占める高齢者の割合が下がり、重症化の予防効果が指摘されている」と説明。「行動制限の緩和に向け具体的な検討を行っており、しっかり国民に示したい」と述べた。
 政府は「10~11月のできるだけ早い時期」に全ての希望者へのワクチン接種を完了する方針。これを踏まえ、社会・経済活動の再開について検討を進めてきた。
 ただ今後の感染状況は見通せておらず、専門家の中には宣言対象地域の行動制限緩和に否定的な意見も根強い。酒類提供に関しては、政府内にも「宣言の対象地域では難しい」(高官)との見方がある。菅義偉首相の退陣表明で、10月初旬にも新たな内閣が発足する見通しで、緩和のタイミングや条件などは新政権の課題となる。 (C)時事通信社