寝過ぎも寝不足も死亡の行動危険因子となりうる。国立がん研究センター社会と健康研究センターのThomas Svensson氏らは、東アジアの男女32万例超を含む9件のコホート研究のデータを用いて、睡眠時間と死亡との関連を男女別に解析。その結果、7時間睡眠と比べ、その他の睡眠時間では死亡リスクが有意に上昇すること、性は睡眠時間と死亡の関連に影響する修飾因子で、年齢は男性のみで修飾因子となることが分かったと、JAMA Netw Open2021;4:e2122837)に発表した。

対象は日本、中国、シンガポール、韓国の男女

 これまでに、長時間睡眠および短時間睡眠はいずれも全死亡と関連することや、長時間睡眠と死亡との関連は欧米人よりも東アジア人でより強いことが報告されている。また、東アジア人では、BMIと睡眠時間、心血管疾患(CVD)による死亡、がんによる死亡との関連が示されている。

 Svensson氏らは今回、睡眠時間と死亡との関連に影響を及ぼす因子を探索する目的で、縦断研究のデータを用いて睡眠時間と全死亡および主要な原因(CVD、がん、その他)による死亡との関連を男女別にプール解析した。年齢およびBMIによる層別解析も行った。睡眠時間は自己申告で、7時間を対照とした。

 解析対象は、1984年1月1日~2002年12月31日に実施された9件のコホート研究に含まれる日本、中国、シンガポール、韓国の男女32万2,721例(平均年齢54.5±9.2歳、男性14万4,179例、女性17万8,542例)。平均追跡期間は、男性で14.0±5.0年、女性で13.4±5.3年だった。データの解析は、2018年8月1日~21年5月31日に実施した。

睡眠時間は男性で8時間、女性で7時間が最多

 主要評価項目は、全死亡、主要な原因(CVD、がん、その他)による死亡の発生。男女別の死亡リスクは、年齢、婚姻状態、BMI、喫煙状況、飲酒状況、身体活動、糖尿病および高血圧の病歴、閉経状態(女性のみ)を調整後に算出したハザード比(HR)で評価した。

 睡眠時間は男性では8時間が最も多く(35.1%)、次いで7時間(31.7%)、女性では7時間が最多(33.8%)で、次いで8時間(29.8%)の順だった。追跡期間中に死亡したのは、男性で1万9,419例(平均年齢53.6±9.0歳)、女性で1万3,768例(同55.3±9.2歳)だった。

全死亡リスクは7時間睡眠で低値

 解析の結果、全死亡リスクは男女とも睡眠時間7時間を低値とするJ字型の関連が示された。全死亡リスクが最も高かったのは、男女とも10時間以上だった(男性:HR 1.34、95%CI 1.26~1.44、女性:同1.48、1.36~1.61)。

 性は、CVDによる死亡(χ52=13.47、P=0.02)、がんによる死亡(χ52=16.04、P=0.007)、その他の原因による死亡(χ52=12.79、P=0.03)と睡眠時間との関連に影響する修飾因子だった。

睡眠時間の推奨には性と年齢を考慮

 65歳以上と未満に分けた解析では、年齢は男性では死亡と睡眠時間との関連に影響する修飾因子だったが(全死亡:χ52=41.49、P<0.001、がん:χ52=27.94、P<0.001、その他の原因による死亡:χ52=24.51、P<0.001)、女性ではそうした関係は認められなかった。

 BMI 25以上と未満に分けて解析したところ、BMIは死亡と睡眠時間の関連に影響する修飾因子ではなかった。

 以上から、Svensson氏らは「睡眠時間は男女ともに、死亡の行動危険因子であることが示唆された」と結論。また、男性では年齢が睡眠時間と死亡の修飾因子であったことから「東アジアの人々に推奨される睡眠時間の設定には、性と年齢を考慮する必要があるだろう」と付言している。

(比企野綾子)