内閣府が8日発表した2021年4~6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は年率換算で前期比1.9%増だった。速報値(1.3%増)から上方修正されたが、新型コロナウイルス禍で個人消費の持ち直しは鈍い。感染力の強い変異株や半導体不足による生産活動の停滞など下振れリスクは高く、7~9月期以降も景気停滞の長期化が避けられそうにない。
 4~6月期の上方修正は、設備投資の上振れがけん引。製造業の業績回復でデジタル関連などの投資が活発化した。一方、個人消費も上方修正されたが、消費者物価指数の基準改定によるプラス寄与が主因。3度目の緊急事態宣言で飲食などサービス消費は伸び悩んだ。
 7~9月期は、デルタ株の爆発的流行で4度目の宣言の対象拡大・延長が繰り返され、小幅のプラス成長にとどまるとの見方が強い。個人消費について、SMBC日興証券は前期比0.5%減と予測する。
 半導体不足やコロナ拡大による東南アジアからの部品供給の滞りを受けた自動車減産の広がりも懸念材料だ。みずほリサーチ&テクノロジーズは7~9月期に自動車各社の国内での減産規模が40万台超となり、「実質GDPを1%程度下押す」と試算する。
 4~6月期の年率換算の実質GDP実額は539兆円。政府は10~11月に希望者全員のワクチン接種が完了することを前提に、年内にコロナ前の19年10~12月期(546兆円)の水準への回復を目標に掲げる。
 しかし、感染連鎖を食い止める「集団免疫」獲得はデルタ株流行でハードルが上がっている。大和総研はワクチン効果を半減させる新たな変異株が流行すれば「来年1月半ばから3月末に人出を半減させる強力な5回目の宣言が発出され、経済損失額は3.3兆円程度に上る」と想定している。 (C)時事通信社