新型コロナウイルス感染症対策で、19都道府県への緊急事態宣言延長と同時に行動制限緩和の方向が示され、産業界は「政府方針を高く評価する」(十倉雅和経団連会長)と歓迎する。外食や旅行など経済活動の再開に期待は高まるが、感染再拡大への警戒感も根強く、感染症対策と経済回復の両立には不安が続く。
 飲食店での酒類提供について、キリンホールディングスの磯崎功典社長は、ワクチン接種やアクリル板設置などの基準を設ければ、緩和に賛成との立場を表明した。磯崎社長は「皆行き詰まっているし、お客さんも息苦しくて仕方がない」と閉塞(へいそく)感の打破に期待感を示した。
 新浪剛史サントリーホールディングス社長は制限緩和の時期について、「11月と言っているが、もうやればいい」と主張。ワクチン接種が進展しているとして、緩和の前倒しを求めた。
 長期にわたる営業制限で苦境に立つ居酒屋は、「外食の機会が増える可能性がある」(大手)と喜ぶ。百貨店は年末に向けてお歳暮やおせち商戦を控えており、「制限の緩和は非常にありがたい」と来客数の回復を待ち望む。
 観光業界は感染爆発が夏休みを直撃し、東京五輪・パラリンピックも大半が無観客開催で恩恵を受けられなかった。旅行しやすくなることで「V字回復」に期待を寄せつつも、「緩和したらリバウンドも当然あり得る」(旅行大手)と懸念する。
 9日開幕した経済同友会の夏季セミナーで、政府の分科会メンバーを務める小林慶一郎慶応大教授は、コロナ禍の収束について「5年、6年、もしかしたら10年の時間軸で付き合っていかないといけない」と指摘。桜田謙悟代表幹事は「ウィズコロナの環境で経済社会が活力を取り戻し成長できるか、想像力を働かせて検証する必要がある」との考えを示した。 (C)時事通信社