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 1錠に4種類の降圧薬が標準用量の4分の1ずつ配合されたquadpillと、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB、イルベサルタン)標準用量による単剤治療を比較した第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)QUARTETの結果が明らかになった。同試験では、高血圧患者の初期治療における降圧効果はイルベサルタン単剤と比べてquadpillで有意に優れていることが示された。オーストラリア・University of SydneyのClara K. Chow氏らが欧州心臓病学会(ESC 2021、8月27~30日、ウェブ開催)で発表。また、Lancet2021年8月28日オンライン版)にも同時掲載された。

※quadruple ultra-low-dose treatment for hypertension

ARB、Ca拮抗薬、利尿薬、β遮断薬を配合

 高血圧に対する薬物療法において、長年の慣習や多剤併用療法による副作用リスクへの懸念から単剤療法で開始する医師は少なくない。しかし、適切な血圧管理を達成するには多剤併用療法が求められるケースも多い。

 そこでChow氏らはquadpillの有用性を検討するため、多施設共同の第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照並行群間RCT QUARTETをオーストラリアで実施した。

 対象は、2017年6月8日~20年8月31日に登録された未治療または単剤治療を受けている18歳以上の高血圧患者591例(平均年齢59歳、男性60%)。このうち300例を標準用量の4分の1量のARB(イルベサルタン37.5mg)、Ca拮抗薬(アムロジピン1.25mg)、サイアザイド系利尿薬(インダパミド0.625mg)、β遮断薬(ビソプロロール2.5mg)が配合されたquadpillによる治療を開始する群(quadpill群)に、291例をイルベサルタン(150mg)の単剤投与群(イルベサルタン単剤群)にランダムに割り付けた。なお、両群ともに降圧目標値を達成できない場合は降圧薬の追加投与(アムロジピン5mgから開始)も可能とした。

 主要評価項目は、診察室で医師や看護師がいない状況下(自動診察室)で測定した12週後の収縮期血圧(SBP)値の差とし、副次評価項目は血圧コントロール(140/90mmHg未満)が得られている患者の割合、安全性、忍容性などであった。

 自動診察室で測定したベースライン時の平均血圧値は141mmHg (標準偏差13)/85mmHg (同10)だった。また、12週後の時点でquadpill群の15%、イルベサルタン単剤群の40%で降圧薬が追加されていた。

12週後の血圧コントロール率は76%

 intention to treat解析の結果、12週後のSBP値はイルベサルタン単剤群と比べてquadpill群で6.9mmHg低く(95%CI -4.9~-8.9mmHg、P<0.001)、血圧コントロールが得られている患者の割合はイルベサルタン単剤群の58%に対してquadpill群では76%と有意に高かった〔相対リスク(RR)1.30、95%CI 1.15~1.47、P<0.0001〕。一方、有害事象による治療中止率はquadpill群4.0%、イルベサルタン単剤群2.4%で有意な群間差はなかった(P=0.27)。

 また、長期的な効果について検討するため、591例中417例で12カ月後まで割り付けられた治療を継続した。その結果、降圧薬の追加投与が行われた患者の割合はquadpill群と比べてイルベサルタン単剤群で高かったが(P<0.0001)、52週後のSBP値はイルベサルタン単剤群と比べてquadpill群で7.7mmHg低く(95%CI -5.2~-10.3mmHg)、血圧コントロールが得られている患者の割合はイルベサルタン単剤群の62%に対してquadpill群では81%と高かった(RR 1.32、95%CI 1.16~1.50)。

 Chow氏らは「4分の1量ずつに用量が固定された4種類の降圧薬の配合剤による初期治療によって、単剤投与で開始する一般的な治療戦略と比べてより低い血圧値を達成し、それを維持することができた」と結論。また、同氏は今後の研究で、①現行の降圧治療では副作用が問題となる患者に対し、配合剤への切り替えが副作用の軽減につながるかどうか②単剤ではなく2剤併用と比べた場合の配合剤の有用性-を明らかにする必要があるとの考えを示している。

岬りり子