台湾・Chang Gung Memorial HospitalのYu-Yao Huang氏らは、糖尿病性足潰瘍(DFU)患者236例を対象に、新規マクロファージ調節薬ON101と吸収性ドレッシング材の治療成績を比較する第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)を実施。その結果、吸収性ドレッシング材群に対するON101群のDFU完全治癒発生のオッズ比(OR)は2.84と、優れた治癒効果を示したことをJAMA Netw Open2021; 4: e2122607)に発表した。

M1型を減衰およびM2型を活性化し、創傷治癒を促進

 DFUの治癒遅延の原因として、炎症に関与するM1マクロファージと組織修復に関与するM2マクロファージの調節不全が知られており、両マクロファージのバランスを回復させることが治癒の促進に重要となる。

 新規のマクロファージ調節薬であるON101は、インターロイキン(IL)-1βやIL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制してM1マクロファージを減衰させるPA-F4と、コラーゲン合成の増加や線維芽細胞の増殖およびケラチノサイトへの移行を刺激することによりM2マクロファージを活性化するCentella asiatica抽出物を含有する。糖尿病、肥満、脂質異常症のモデルマウス(db/dbマウス)においても、創傷治癒を促進する効果が示されている。

 今回Huang氏らは、DFUの治療におけるON101クリームの局所適用と吸収性ドレッシング材の成績を比較することを目的とし、2012年11月〜20年5月に米国、中国、台湾の21施設において第Ⅲ相多施設共同評価者盲検RCTを実施した。

 対象は、1~25cm2のDFUが4週間以上持続し、Wagnerグレード1/2のDFU患者236例(男性175例、平均年齢57.0歳、平均HbA1c値8.1%)。ON101を1日2回塗布する群(ON101群、122例)と吸収性ドレッシング材を1日1回または週2~3回交換する群(ドレッシング群、114例)に1:1でランダムに割り付け、16週間治療を実施し、治療終了から12週間後に追跡調査を行った。

 主要評価項目はDFUの完全治癒率とし、完全治癒は治療期間中の連続2回の来院時における完全な再上皮化と定義して、FAS解析で評価した。安全性については、有害事象の発生率、臨床検査値、バイタルサインを評価した。

完全治癒率はON101群で60.7%、ドレッシング材群で35.1%

 16週間の治療期間中の完全治癒率は、FAS解析ではドレッシング材群の35.1%(40例)に対してON101群では60.7%(74例)であった(OR 2.84、95%CI 1.66〜4.84、P<0.001)。modified intention-to-treat(mITT)解析でも同様の結果で、ドレッシング材群の33.9%(112例中38例)に対してON101群では61.9%(118例中73例)で潰瘍の完全治癒が見られた(同3.15、1.82〜5.43、P<0.001)。

 DFUの予後不良に関連するベースライン時の潰瘍期間、潰瘍の大きさ、HbA1c値のサブグループ解析では、ドレッシング材群と比較してON101群でそれぞれ完全治癒率の有意なORの上昇が認められた(HbA1c値9.0%以上でOR 3.14、95%CI 1.04〜9.50、P=0.04、潰瘍期間6カ月以上で同 3.99、1.09〜14.63、P=0.04、潰瘍面積5cm2超で同4.09、1.42〜11.80、P=0.009)。

 治療関連有害事象(TEAE)はON101群で7例(5.7%)、ドレッシング材群では5例(4.4%)であった。重篤なTEAEはON101群では発生しなかったが、ドレッシング材群では骨髄炎が1件(0.9%)発生した。

 以上から、ON101はDFUの治療において吸収性ドレッシング材単独よりも優れた有効性を示し、DFUの予後不良因子(HbA1c値9.0%以上、潰瘍期間6カ月以上、潰瘍面積5cm2超)を有する患者を含めても、その効果は一貫していた。

 Huang氏らは「本研究の結果は、保湿剤とは異なるマクロファージ調節薬であるON101が、慢性DFU患者の在宅ケアやプライマリケアにおけるフットケアの選択肢となることを示唆するものである」と結論している。

(今手麻衣)