デキサメタゾンは中等症Ⅱ以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に使用されており、COVID-19流行拡大に伴い世界的に需要が高まっている。しかし、がん薬物療法時の悪心・嘔吐(CINV)に対する制吐目的などでも幅広く使用されていることから、供給不足が生じている。日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会の4学会は、8月27日に厚生労働省が「デキサメタゾン製剤の安定供給について」を発出して過度な買い込み防止や適正使用などの協力を求めたことを受け、9月9日にデキサメタゾンの適正使用を呼びかける合同声明文を発表した。

COVID-19軽症例へのデキサメタゾン投与で予後不良の可能性

 合同声明文は、COVID-19の診療およびがん薬物療法に携わる医療関係者に向けたもの。COVID-19の診療に携わる医療関係者に対しては、酸素投与が不要な軽症例や中等症Ⅰ例に対するデキサメタゾン投与は予後を悪化させる可能性を指摘し、酸素投与が必要な中等症Ⅱ以上の患者が使用対象である点を強調。酸素投与不要例であっても、早期の入院が困難で酸素飽和度の遷延的な低下が見られる場合に2日分程度のステロイド薬を事前処方することは許容されるとた上で、ステロイド薬の内服を指示した場合は、往診などを行い速やかに治療継続の可否を判断するよう呼びかけている。

 また、デキサメタゾン6mg内服薬の代替案として、デキサメタゾン6mg静注、プレドニゾロン40mg内服、メチルプレドニゾロン32mg内服を挙げた。

制吐療法の重要性を明記するも可能な範囲での使用低減を要請

 がん薬物療法に携わる医療関係者に対しては、CINVを制御する重要性を明記。『制吐薬適正使用ガイドライン(GL)』などの関連GLに従って、個々の症例の催吐リスクに応じた適切な制吐療法を継続することを求めた。

 ただし、①高度催吐性リスクがある抗がん薬を使用する際の2日目、3日目②前サイクルのがん薬物療法でCINVが認められなかった場合―など、経口デキサメタゾンなどのステロイド薬の減量・省略が可能、あるいは代替薬(5-HT3受容体拮抗薬やメトクロプラミドなど)がある場合は、経口ステロイド薬の使用量を可能な範囲で低減することを要請した。また、患者が経口デキサメタゾンを保有している場合は、持参薬を活用することを求めた。

 今回の合同声明文については、厚労省からも事務連絡を発出。各自治体に対し、デキサメタゾンが安定供給されるまで管下医療機関への周知を呼びかけている。

(須藤陽子)