自民党総裁選に立候補を表明した3氏が中央省庁の組織再編を提唱した。新型コロナウイルス禍で制度疲労が明らかになった厚生労働省の扱いが焦点で、省分割や新たな司令塔組織の設置などをめぐり論戦が活発になる見通し。新総裁が訴えた政策は次期衆院選で党公約の柱になるとみられ、「霞が関」改革が総裁選の争点の一つとなりそうだ。
 コロナ危機に直面した厚労省はPCR検査の拡大、接触確認アプリ導入、ワクチン承認、病床確保などで遅れや不手際が目立った。所管業務が幅広いことに加え、縦割り行政の弊害などが背景にあり、退陣する菅義偉首相も9日の記者会見で、「新型コロナのような状況については一本でさまざま対応できる組織が必要だ」と悔いた。組織立て直しは次期政権にとって急務だ。
 厚労省分割論に言及したのは河野太郎規制改革担当相。「厚生省と労働省に分けることも一つの考え方」と述べるとともに、年金改革など分野ごとに担当閣僚を新設する案も示した。
 菅内閣で自身がワクチン担当閣僚となったのも、厚労相が抱える仕事が膨大だったためと説明。「抜本的な社会保障改革、特に年金、医療の改革を一人の閣僚で担当するのは非常に大変ではないか」と指摘し、社保改革の布石としたい考えをにじませた。
 岸田文雄前政調会長は、感染症対応の司令塔となる「健康危機管理庁」新設を掲げた。現在は内閣官房のコロナ対策推進室が担う機能を強化する狙いで、「公衆衛生上の危機発生時に、国・地方を通じた強い指揮権限を有する」と説明。一方、厚労省分割には「単に分ければいいというものではない」と慎重だ。
 高市早苗前総務相は「令和の省庁再編に挑戦したい」と意気込み、「環境エネルギー省」「情報通信省」「サイバーセキュリティー庁」新設に加え、米政府にならった通商代表部、対日本外国投資委員会の設置も唱えた。高市氏は13日、記者団に対し厚労省改革は「省庁再編の一つの議題になる」と述べながらも「私の優先順位は違う」と明言。環境、エネルギー、情報通信分野の改革に力を注ぐ方針を示した。
 安倍政権は国家安全保障局や内閣人事局を設置して官邸主導体制を確立し、菅政権はデジタル庁を始動。新組織は政権の目玉政策となってきた。一方、省庁再編は権限や予算を奪われる霞が関や関係議員の抵抗が予想されるほか、屋上屋を架す事態となる可能性もある。それだけに、新総裁の強い指導力と国民の支持が必要となる。 (C)時事通信社