尿酸値の上昇とパーキンソン病(PD)のリスク低減との関連性が報告されている。米・マサチューセッツ総合病院のMichael A. Schwarzschild氏らは、早期PD患者を対象に尿酸前駆体イノシンの有効性を検討する第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)SURE-PD3を実施。その結果、イノシン投与により血清尿酸値を7.1~8.0mg/dLに維持してもPDの進行は抑制されなかったと、JAMA(2021年9月14日オンライン版)に発表した。

対象はイノシン群、プラセボ群の各149例

 尿酸値の上昇は、痛風や心血管疾患、代謝障害との関連が指摘されている。その一方で、尿酸値が高いとPDの有病率が低下することが示され(Am J Epidemiol 2007; 166: 561-567)、疾患修飾療法としての可能性が模索されている。

 Schwarzschild氏らは今回、イノシン投与による持続的な尿酸値維持療法が早期PDの進行を抑制するか否かを検討する第Ⅲ相二重盲検RCTを実施した。対象は、ドパミン作動薬が不要、線条体におけるドパミントランスポーターが減少、血清尿酸値の中央値が5.8mg/dL未満の条件を満たす早期PD患者298例。血清尿酸値が7.1~8.0mg/dLになるようイノシンを投与するイノシン群とプラセボ群にランダムに割り付け分けた(各149例)。投与期間は最長2年間とした。

 主要評価項目は統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRSパートⅠ~Ⅲ)の合計スコア(59項目の質問、236点満点で点数が高いほど悪化)の年間変化で、6.3ポイント以内を臨床的に意味のある差異とした。副次評価項目として、血清尿酸値の測定、安全性評価、QOLや認知機能、気分、自律神経、線条体ドパミントランスポーター結合能などを含む臨床的有効性の評価を行った。

MDS-UPDRSの変化の群間差は1.26ポイント/年と推算

 研究は、事前に設定した暫定的無益性解析に基づき早期に終了した。試験を完了したのは273例(92%、平均年齢63歳、女性49%)だった。

 MDS-UPDRSスコアの変化を解析したところ、イノシン群で11.1ポイント/年(95%CI 9.7~12.6ポイント/年)、プラセボ群で9.9ポイント/年(同8.4~11.3ポイント/年)と推算され、両群の臨床的進行度に有意差は認められなかった(推算群間差1.26ポイント/年、95%CI -0.59~3.11ポイント/年、P=0.18)。

イノシン群では重篤な有害事象が少なく、腎臓結石が多い

 血清尿酸値はイノシン群では2.03mg/dL(開始時の平均4.6mg/dLから44%の上昇)の持続的な上昇が認められたが、プラセボ群では0.01mg/dLの上昇にとどまった(群間差2.02 mg/dL、95%CI 1.85~2.19mg/dL、P<0.001)。

 イノシン群ではプラセボ群と比べ、重篤な有害事象の発生が少なかったものの(7.4件/100人・年 vs. 13.1件/100人・年)、腎臓結石の発生は多かった(7.0件/100人・年 vs. 1.4件/100人・年)。

 副次評価項目の臨床的有効性については、ドパミントランスポーター結合能の低下を含め両群で有意差は認められなかった。

 以上から、Schwarzschild氏らは「早期PD患者では、イノシン投与により尿酸値を上昇させても、臨床的有効性はプラセボ投与と差がなかった。早期PD治療における疾患修飾療法としてのイノシン投与は支持されない」と結論している。

(比企野綾子)