東京五輪・パラリンピックで各国選手団の受け入れなどを担った「ホストタウン」。新型コロナウイルス対応に追われ、直接交流の多くはかなわなかった。事業の意義に疑問を投げ掛ける声もあった一方、今後の交流などレガシー(遺産)づくりに向け足掛かりを見つけた自治体もあった。
 前橋市は南スーダンの陸上選手団5人を2019年11月に受け入れた。翌3月に大会の1年延期が決定。同国の政情不安もあり、滞在は1年9カ月にも及んだ。この間、選手団と地元関係者の絆は深まったという。
 選手は「お客さま」でなくなり、市側と本音でぶつかることもあったが、「家族の一員のような存在になった」(市担当者)。市はレガシーとして、今後も年に2人のスポーツ選手を南スーダンから受け入れる方針だ。
 19年ラグビー・ワールドカップ(W杯)から南アフリカと交流がある鹿児島市は、男子7人制ラグビー代表21人の事前合宿を受け入れた。しかし、同じ機内にいた無関係の乗客がコロナ陽性に。18人が一時濃厚接触疑いとされ、市保健所職員が調査のため到着した空港がある首都圏に飛んだ。
 後に監督の陽性も分かり、市内での練習は当初の9日間から3日間に短縮。それでも同国側は「全力を尽くしてくれた」と謝意を示し、市担当者も「結果的に同国との絆は深まった。お互い苦労したから」と振り返る。
 一方、「交流の点では何もできなかった」と話すのは、ハンガリーの近代五種選手団を受け入れた栃木県栃木市の担当者。アテンドは旅行会社が担い、職員は裏方として会場の準備などに専念。市民のメッセージカードを選手のいるホテルに飾ったが、選手と話す機会はなかった。市担当者は「同国と新しいつながりが持てたのは良かった」としつつ、「費用対効果ではどうか。当初想定していたホストタウンの成果としては十分でなかった」。
 大会では事前合宿を取りやめるケースも続出した。国の指針が日々複雑化する中、長野県上田市は中国の7人制女子ラグビー代表の合宿を断念。現在同国側とやりとりはないが、「事業の目的は市に中国文化を広めること」として、22年度にかけてイベントを行う予定だ。 (C)時事通信社