新型コロナウイルス流行「第5波」の中で17日、自民党総裁選が告示された。全国の感染者数は減少傾向だが、緊急事態宣言の延長が相次ぐなど、平穏な日常は遠い。「国民にメッセージを」。医療や飲食、観光に携わる人からは、新たなリーダーに窮状打開への要望が寄せられた。
 東京都杉並区の河北総合病院では感染ピーク時の8月、コロナ患者用に確保した55床が満床になった。9月に入り余裕も出てきたが、運営法人の河北博文理事長(71)は第6波への懸念が拭えない。「第5波ほどの急増はないと思うが、病床を確保するなど備えは必要」と話す。
 コロナワクチンは「3回目の接種が必要になる。迅速な仕組みを整えてほしい」と要望。「(抗体カクテル療法の)中和抗体薬など重症化を防ぐ薬の在庫も国が確保しておくべきだ」と医療現場の負担緩和を求め、新総裁には「もっと国民に語り掛けてほしい」と注文した。
 食い倒れの街・大阪。繁華街ミナミのたこ焼き店で20年以上働く前田和慶さん(40)は「緊急事態宣言を出すだけでいいのか」と首をひねる。人通りによって売り上げが変わるだけに、「街に人が戻ってくるのかどうか。店が忘れ去られてしまうのが怖い」と気をもむ。名物の人形「くいだおれ太郎」の近くにある土産物店の女性店員(35)は「飲食店のような休業補償制度はない」と訴える。観光客も周囲に旅行土産と言いづらいため購買意欲は低く、「せめてGo To トラベルを復活させてほしい」と願った。
 5月23日以降、4カ月近く緊急事態下にある沖縄県の読谷村でダイビングショップを経営する高橋光洋さん(32)は「初めは(総裁選の)動きを見ていたが、今は気にしてもいない」。客の9割以上が県外からで、学生旅行シーズンの9月の予約は例年より8割減った。「各種給付金が助けになったが、誰に代わってもこれ以上(の再給付)はないだろうと期待できなくなった」と淡々と話した。 (C)時事通信社