【ワシントン時事】バイデン米大統領が打ち出した新型コロナウイルス対策の強化に、共和党の州知事らが相次いで反対を表明している。ワクチン接種の義務化は「個人の選択の自由に反する」と主張。感染症対応の政治問題化が進む現状に、バイデン氏は頭を悩ませている。
 バイデン氏は9日、すべての連邦職員にワクチン接種を義務付け、100人超を雇う企業にも従業員に接種または定期検査を受けさせるよう求める新たなコロナ対策を発表。「自由や個人の選択の問題ではない。自分自身と愛する人を守るためだ」と国民に理解を呼び掛けた。
 これにかみついたのが、連邦政府の州行政への介入を嫌う共和党知事たちだ。「ミニ・トランプ」ともあだ名されるフロリダ州のデサンティス知事は、職員にワクチン接種を義務付けた州内の自治体に5000ドル(約55万円)の制裁金を科すと表明。ジョージア州のケンプ知事も「連邦政府の過干渉を止めるため、あらゆる法的措置に訴える」とけん制した。
 知事たちの主張は、必ずしも米国民の多数派ではない。ネットメディア「アクシオス」などが10~13日に行った世論調査では、連邦職員や企業へのワクチン義務化方針に「強く賛同する」「ある程度賛同する」の合計が60%だった。同様の傾向は複数の世論調査でみられる。
 ただ、新規感染者数が減らない一方、ワクチン接種率は頭打ちになっている。米疾病対策センター(CDC)によると、12歳以上で接種を完了した人は17日現在、人口の63.6%。1日当たりのワクチン投与数は4月にピークを迎え、以降は伸び悩む。ワクチンを拒絶する人々にいかにして接種させるかが、感染拡大防止の焦点となっている。
 アクシオスの調査では、ワクチン義務化への賛成は民主党支持層で80%超、共和党支持層では30%余りと、党派による隔たりも明確になった。バイデン氏は16日の演説で、「麻しん(はしか)や水ぼうそうのワクチンは州が義務化している」と矛盾を指摘。「最悪の類いの政治だ」と知事らを批判した。 (C)時事通信社