国土交通省が公表した2021年の基準地価は、全国で半数以上の地点が下落するなど、引き続きコロナ禍の影響が表れた。ただ、福岡市をはじめ札幌、仙台、広島の4政令市では、再開発の進展や周辺部からの人口流入を背景に、他地域と比べ目立った伸びを見せた。都市と地方の双方に生活拠点を持つ「二地域居住」に対する関心の高まりを受け、首都圏の郊外などでは地価が上昇している地点もある。
 商業地の上昇率上位10地点を見ると、7地点が福岡市内。政令市の中で人口増加率が最も高い同市では、中心部の天神や博多駅前で再開発プロジェクトが進み、オフィス需要が堅調に推移。交通の便がいい地域では賃貸マンションなどのニーズも高かった。
 住宅地では、北海道北広島市や恵庭市など札幌市に比べて割安感のある近郊の地点が上昇率上位にランクイン。国交省の担当者は「札幌市周辺は他の都市圏と比べても価格が低く、人気がある」と説明する。
 テレワークの進展に伴う働き方の変化が、住み方に影響した例も見られる。太平洋に面した千葉県一宮町は、今夏の東京五輪でサーフィンの競技会場になるなど愛好家らの間で人気が高かったが、コロナ禍で愛好家以外からの注目度も上昇。都心からのアクセスの良さなどを理由に、移住や別荘目的の需要が広がり、地価を押し上げた。
 長野県軽井沢町や山梨県富士河口湖町など、首都圏に近い別荘地でも、主に高所得者の二地域居住ニーズから引き続き上昇した。
 ただ、こうした傾向が見られる地域は限定的。東京一極集中の是正につながるほどの移住の動きは「地価動向から明確には読み取れない」(国交省担当者)のが実態だ。 (C)時事通信社