国土交通省が21日発表した基準地価では、新型コロナウイルスの感染長期化に伴う「巣ごもり」でネット通販の利用が増えたことを背景に大型物流施設の需要が強まり、工業地の地価変動率の全国平均が4年連続の上昇となった。一方で、商業地は利用客の急減が続く観光・飲食関連施設の大半で収益改善を見通せず、価格の下落に歯止めがかからない。
 工業地の平均上昇幅は2020年の前回調査の0.2%から0.8%に拡大。国道の拡充を機に物流拠点としての重要性が高まった沖縄県豊見城市で30%近く急騰したのに加え、千葉県松戸市や愛知県飛島村などの上昇が目立つ。今後も堅調な需要が見込まれ、物流施設を中核事業の一つと位置付ける大和ハウス工業は「開発を加速していきたい」と意気込む。
 コロナ禍で観光客が消失した影響は都市、地方を問わず表れた。地価は、高級感漂う店舗が並ぶ銀座一丁目駅(東京都中央区銀座)付近の地点で3.7%落ち込んだほか、北海道函館市や金沢市ひがし茶屋街、京都市伏見地区などの観光地で軒並み低下。商業地の全国平均下落幅は20年の0.3%から0.5%に広がった。
 国交省は商業地のうち、オフィス需要に関しては「ホテルや飲食店などに比べれば安定している」と分析する。ただオフィスは今後供給増が見込まれる地域も多いことから、不動産業界では物件間の競争が激しくなるとの見方が強く「働きやすさや環境への優しさなどで優劣が問われる」(不動産総合サービス大手)との指摘がある。 (C)時事通信社