政府が24日公表した2021年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、東日本大震災後に日本企業が直面した「6重苦」と呼ばれた事業環境が改善されたかどうかを分析した。白書は、重い法人税負担など半数の問題は解消されたものの、コロナ禍がデジタル化といった新たな課題を浮き彫りにしたと指摘した。
 新たな課題に浮上した「デジタル化の遅れ」では、人材や投資の不足を指摘。名目GDP(国内総生産)比で見た情報通信業の研究開発費(17年)は、米国が0.44%(実額は約9兆9000億円)に対し、日本は0.11%(同約6000億円)と大きな開きがあることを問題視している。
 一方、6重苦のうち「経済連携協定(EPA)の遅れ」「高い法人税率」は解消されたと評価した。環太平洋連携協定(TPP)の発効などでEPA締結地域との貿易は全体の約5割まで上昇(11年末は2割弱)。法人実効税率も29.74%と独仏と同水準まで下がった。
 「円高」も是正。さらに海外生産の拡大で為替変動に対する企業の対応力も高まったという。ただ、「電力の不足・コスト高」は解消されず、「労働市場の硬直性」は女性や高齢者の雇用が進んだが、人材の流動性はなお低いと分析した。
 当初は競争力の阻害要因と捉えられた「過剰な環境規制」では、脱炭素の取り組みを企業の新たな成長につなげるべきだと提言した。30年度の温室効果ガス排出量を13年度比46%削減する政府目標の実現には、追加的に11%程度のエネルギーの需要抑制・効率化が必要と試算。発電コスト抑制とエネルギー効率改善へ技術革新の必要性を訴えた。 (C)時事通信社