マウスの体内で胚(成長した受精卵)から初期の生殖細胞を経て精子ができる過程を、胚性幹細胞(ES細胞)を使って実験容器内ですべて再現できたと、京都大の斎藤通紀教授や横浜市立大の小川毅彦教授らが25日までに米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。初期の雌雄共通の生殖細胞「始原生殖細胞」から精子幹細胞、精子と段階的にできる過程がより詳細に解明され、将来は人の不妊治療に役立つと期待される。
 斎藤教授らは2016年、マウスES細胞を始原生殖細胞に変えた後、マウス胎児から採取した生殖巣の体細胞と一緒に凝集させて培養し、精子幹細胞ができたと発表。当時はこの精子幹細胞を実験容器から取り出して別のマウスの精巣に移植し、精子を生み出した。
 今回は培養方法を工夫し、引き続き実験容器内で精子を生み出すことに成功。詳細な分析で、体内の過程をよく再現できていることが分かった。
 ES細胞は胚の内部細胞を採取、培養して作られる。皮膚などの細胞に遺伝子群を導入して作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)と同様に、さまざまな細胞に変わる能力がある。 (C)時事通信社