新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した小児で川崎病様の症状を呈する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)に注目が集まっているが、米国では成人においてMIS-Cに類似した症状が現れるMIS-Aも報告されている。米疾病対策センター(CDC)のPragna Patel氏らは、MIS-Aに関するこれまでの報告を用いてシステマチックレビューを実施。発熱、低血圧、心機能不全といった症状が認められ、7%が死亡したとJAMA Netw Open2021; 4: e2126456)に報告した。(関連記事:「小児コロナ関連疾患MIS-Cの診療ポイント」

CDCのMIS-Cサーベイランスなどを使用

 COVID-19罹患後2〜6週で21歳未満(中央値8〜9歳)に発症し、消化器症状や発熱などを呈するMIS-C。一方、成人で発症するMIS-Aの病態はいまだ不明点が多く、患者数や臨床的特徴も明らかとなっていない。

 そこでPatel氏らは、①MEDLINE、EMBASEなど10件の医学電子データベースに2020年5月1日〜21年5月25日に掲載された文献、②MIS-A患者からCDCへの自主的な報告、③CDCのMIS-Cサーベイランスに登録された18〜20歳の患者に関する報告−を抽出し、システマチックレビューを実施。MIS-Aの特徴を解析した。

川崎病様の症状は11%、死亡は7%

 特定されたMIS-A患者は221例〔年齢中央値21歳、四分位範囲(IQR)19〜34歳〕。COVID-19罹患からMIS-Aの症状発現までの期間は中央値で28日(IQR 20〜36日)だった。

 主な症状は、発熱96%(197/205例)、低血圧60%(133/220例)、心機能不全54%(114/210例)、息切れ52%(102/198例)、下痢52%(102/197例)だった。病変が生じた臓器系は中央値で5つ(IQR 4〜6つ)で、血液系92%(184/200例)、循環器系87%(193/221例)、消化器系83%(182/218例)、呼吸器系74%(159/215例)だった。文献で川崎病様の症状が報告されていたのは11%(10/94例、年齢中央値37歳)だった。

 入院期間は中央値で8日(IQR 5〜12日)、57%(115/201例)が集中治療室(ICU)に入室、47%(101/213例)が呼吸管理を要した。死亡は7%(15/220例)だった。

 なお、90%(176/195例)で凝固異常あるいは炎症マーカーの上昇が見られ、内訳はD-ダイマー上昇91%(138/151例)、リンパ球減少86%(94/109例)、インターロイキン(IL)-6上昇98%(61/62例)、フェリチン上昇91%(150/165例)、フィブリノゲン上昇91%(93/102例)、C反応性蛋白(CRP)上昇90%(176/195例)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)上昇74%(56/76例)、N末端プロBNP(NT-proBNP)上昇90%(53/59例)だった。

 18歳以下のMIS-C患者と比べ、MIS-A患者ではCOVID-19既往(29% vs. 68%)、心筋炎(15% vs. 30%)、心機能不全(29% vs. 54%)などのリスクがいずれも有意に高く(全てP<0.001)、入院期間は有意に長かった(中央値5日 vs. 8日、P<0.001)。一方、MIS-C患者では皮膚粘膜症状のリスクが有意に高かった(76% vs. 46%、P<0.001)。

 以上の知見について、Patel氏は「MIS-Aの症状はCOVID-19の急性期以降に発現し、免疫調節障害に起因する不均一性の臨床症状を呈することが示唆された」としている。

(平山茂樹)