米・Cleveland Clinic CenterのDavid M. Krpata氏は、幅20cm以下の開腹によるヘルニア修復術を施行された350例を対象に、修復用のmedium-weightメッシュがheavy-weightメッシュと比べて術後1年時の疼痛を軽減し、QOLを改善するかを検討する、多施設ランダム化比較試験を実施。その結果、両メッシュ群間で疼痛やQOLに有意差はなかったとJAMA Surg2021年9月15日オンライン版)に発表した。

30日後および1年後の疼痛とQOL、再発率を評価

 ヘルニア修復術に用いるポリプロピレン製メッシュデバイスは複数存在する。しかし、適応症によりどのデバイスが望ましいか判断の指標となる比較研究はほとんどない。メッシュの密度(重量)は、術後慢性疼痛の発生率や腹壁内でのメッシュの違和感など、患者の転帰に影響すると考えられている。

 そこでKrpata氏らは今回、手術から1年後の疼痛軽減効果についてheavy-weightメッシュとmedium-weightメッシュで比較検討した。

 対象は、2017年3月14日~19年4月17日に米国の4施設で登録した、幅が20cm以下の開腹ヘルニア修復術を行った患者350例。18歳未満、ミッドラインではない腹側ヘルニア、ヘルニア幅が20cm以上、一次筋膜閉鎖が未達成、米疾病対策センター(CDC)の創分類がClass Ⅱ~Ⅳ、試験への参加を拒否した患者は除外した。heavy-weightポリプロピレン製メッシュを使用するheavy群173例〔女性84例(48.6%)、平均年齢59.2歳〕とmedium-weightのポリプロピレン製メッシュを使用するmedium群177例〔同91例(51.4%)、59.3歳〕にランダムに割り付け、1年間追跡調査した。

 主要評価項目は、米国立衛生研究所(NIH)の患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)の疼痛強度ショートフォーム3aで測定した術後1年時の疼痛とした。副次評価項目は、1年後の患者報告によるQOL(HerQLes質問票で評価)、術後30日目の疼痛およびQOL、1年後のヘルニア再発などとした。ヘルニア再発は、身体検査、Hernia Recurence Inventory(HRI)、CT検査の3つの方法で測定した。

1年後の疼痛スコアは両群で同等

 両群のベースラインの人口統計学的特性〔平均BMIともに32.0、米国麻酔学会術前状態(ASA-PS)分類ともに2~4)、併存疾患の有無〔高血圧:heavy群122例(70.5%)、medium群93例(52.5%)、糖尿病:44例(25.4%)、43例(24.3%)、慢性閉塞性肺疾患:17例(9.8%)、12例(6.8%)〕、手術の特徴〔修正済みヘルニアグレード2:130例(75.1%)、140例(79.1%)〕のいずれも有意差はなかった。

 解析の結果、疼痛スコアは30日後でheavy群46.3、medium群46.3(P=0.89)、1年後でそれぞれ30.7、30.7(P=0.59)と、いずれも有意差はなかった。

 QOLについても有意差は認められず、1年後のQOLスコアの中央値はheavy群が90.0(四分位範囲67.9〜96.7)、medium群が86.7(同65.0〜93.3)で、30日後のQOLスコアの中央値はそれぞれ45.0(同24.6〜73.8)、43.3(同28.3〜65.0)だった。

 1年後のヘルニア再発率もheavy群8%、medium群7%(P=0.79)と両群で同等だった。

 以上から、Krpata氏らは「heavy群と比べてmedium群では患者が認識できる、または臨床上の利点を示さなかった。両群の長期的な追跡調査により、両メッシュの耐久性について貴重な洞察が得られるだろう」と結論している。

今手麻衣