米・University of California, San DiegoのWilliam J. Sandborn氏らは、中等度〜重度の潰瘍性大腸炎(UC)患者1,012例を対象に、新規経口治療薬ozanimodの第Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)True Northを実施。プラセボ群に比べozanimod群では、導入期および維持期ともに寛解率が有意に高かったとN Engl J Med2021年9月30日オンライン版)に発表した。

S1P1とS1P5に結合、炎症部位へのリンパ球流入を抑制

 選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調整薬であるozanimodは、2020年3月に再発性多発性硬化症を適応として米食品医薬品局(FDA)に承認されており、2021年5月には中等度~重度のUCに対する適応追加が承認された。S1Pサブタイプ1(S1P1)および5(S1P5)に高親和性に結合し、リンパ球のS1P1受容体を内在化させて消化器の炎症部位へのリンパ球の流入を抑制する。

 Sandborn氏らは今回、中等度〜重度のUCに対する導入療法および維持療法としてのozanimodの有効性と安全性の検討を目的に、True North試験を実施した。

 対象は、18〜75歳でMayoスコアの合計が6~12(内視鏡検査サブスコア2以上、直腸出血サブスコア1以上、便回数サブスコア1以上)の中等度〜重度の瘍性大腸炎患者1,012例。

導入期寛解率はプラセボ群6.0%vs. ozanimod群18.4%

 同試験は2つのコホートから成り、導入期間(10週間)において、①コホート1では、二重盲検下で645例を塩酸ozanimodを1mg/(有効成分ozanimod0.92mgに相当)投与する群(429例)とプラセボ群(216例)に2:1でランダムに割り付け、②コホート2では非盲検下で367例に、ozanimodを1mg/日投与した。

 主要評価項目は、導入期の10週目と維持期の52週目にMayoスコアで評価した臨床的寛解を示した患者の割合とした。臨床的寛解は、直腸出血サブスコアが0、便回数サブスコアがベースラインから1ポイント以上減少して1以下、内視鏡検査サブスコアが1以下(いずれも0~3のスケール)と定義した。

 主な副次評価項目については、臨床反応、内視鏡的改善、粘膜治癒とし、Cochran-Mantel-Haenszel検定を用いて評価。安全性も評価した。

 解析の結果、コホート1における臨床的寛解達成率はプラセボ群の6.0%(216例中13例)に対しozanimod群では18.4%(429例中79例)と有意に高かった(群間差12.4%ポイント、95%CI 7.5~17.2、P<0.001)。

維持期寛解率は18.5%vs. 37.0%

 維持期間(52週目まで)では、導入期間終了時点でozanimod療法に臨床反応が認められたコホート1の233例(54.3%)とコホート2の224例(61.0%)を、ozanimod群(230例)またはプラセボ群(227例)に再びランダムに割り付けた。

 解析の結果、臨床的寛解の発生率は、プラセボ群の18.5%(227例中42例)に対し、ozanimod群では37.0%(230例中85例)と有意に高かった(群間差18.6%ポイント、95%CI 10.8~26.4ポイント、P<0.001)。

 臨床反応が得られた患者の割合は 、導入期間ではプラセボ群が25.9%(216例中56例)、ozanimod群が47.8%(429例中205例)で、維持期間ではそれぞれ41.0%(227例中93例)、60.0%(230例中138例)と、いずれもozanimod群で有意に高かった(全てP<0.001)。

 その他の主な副次評価項目についてもozanimod群で有意に高かった。

 安全性について、全ての感染症の発生率は、導入期間では両群で同程度だったが、維持期間ではozanimod群で高かった。重篤な感染症の発生率は、試験期間を通じ各群で2%未満だった。肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇は、ozanimod群で多かった。

 以上から、Sandborn氏らは「ozanimodは中等度〜重度の活動性を有するUC患者に対する導入療法および維持療法としてozanimodの有効性が示された」と結論。

 ただし研究の限界として、今回の対象がより広範な臨床現場における患者集団が反映されていない可能性がある点、長期データが示されていない点を挙げている。なお現在、同試験の非盲検延長試験が進行中である。

(今手麻衣)