「令和版所得倍増」に向け、社会保障分野では、子育て世帯の経済的な負担軽減が主なテーマとなる。また、給与水準が低く抑えられている介護、保育分野などで働く人の賃上げも課題だ。ただ、財源に限りがあり、どれだけ思い切った施策を打ち出せるかは見通せない。
 岸田文雄新首相は自民党総裁選で、子育て世帯の教育費や住居費に対する支援強化を打ち出した。若い世代が安心して子どもを育てられる環境を整える狙いだ。また、看護師や介護職員、保育士らの所得を増やすことも掲げ、サービスの担い手確保につなげようとしている。
 ただ、いずれも具体策の検討はこれから。子育て支援をめぐっては、先の通常国会で成立した改正児童手当法に基づき、高所得世帯への「特例給付」を廃止して、保育所整備などに充てる見直しが行われるなど、サービスの充実には給付カットがセットとなるケースも見られる。賃上げでは診療報酬や介護報酬などの引き上げが考えられるが、「保険料や国の財政に響く」(政府関係者)との懸念が根強く、容易ではない。
 このほか、前政権が進めた「こども庁」創設や不妊治療への支援強化も引き継がれる。こども庁創設をめぐり、岸田氏は「子どもの命、健康、人権を一元的に見る組織が大切」と意欲を示してきた。組織の役割や権限を明確にし、看板倒れに終わらない制度設計が欠かせない。 (C)時事通信社