新型コロナウイルス禍であらわになった行政のデジタル対応への遅れの挽回は、岸田新政権にとって急務だ。菅前政権の遺産といえるデジタル庁は9月に発足したばかり。同庁として12月に初めて策定する重点計画などを通じて、改革の具体策を示し、「デジタル敗戦」の汚名返上の道筋を付けられるかどうか新政権の力量が試される。
 行政のデジタル化が進まなかったのは各省庁間の縦割りや前例踏襲主義の影響が大きい。デジタル庁が主導する業務の抜本的見直しには反発も予想される中、霞が関との対決をいとわないという岸田文雄首相の覚悟が問われそうだ。
 岸田氏は総裁選で、高速大容量規格「5G」などのインフラの全国展開を柱とする「デジタル田園都市国家構想」を訴えたが、その内容の具体化はこれからだ。岸田氏の目指す未来の社会像を国民に分かりやすく提示する必要もある。
 一方、平井卓也前デジタル相らがNTTから接待を受けていた問題は、赤石浩一デジタル審議官が懲戒処分を受ける事態に発展。民間との距離感という中央省庁の基本的な在り方で最初からつまずき、国民からの信頼が揺らぐ同庁の立て直しが迫られている。 (C)時事通信社