所得分配などを柱とする経済対策を掲げる岸田政権が4日、発足した。「再就職支援を」「早く正常化を」。新型コロナウイルスの流行により長引く不況で失業した人らからは、感染再拡大を抑えつつ、経済回復や困窮者支援に期待する声が上がった。
 東京都文京区のハローワーク飯田橋では、この日も求人コーナーに人が引っ切りなしに出入りした。失業給付の手続きに来た千葉県船橋市の男性(65)は、パート先のホテルで人員整理の対象となった。東京五輪・パラリンピックの無観客開催が影響したといい、「高齢者の再就職支援をお願いしたい」と訴えた。
 化粧品関連会社を経営する女性(43)は、インターネット販売に向けた人材募集相談で訪れた。海外取引は途絶え、ワクチン接種証明書を活用した行動制限の緩和に「素早い対応を」と期待する。
 生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(52)によると、9月25日に東京・池袋で行われた炊き出しにはコロナ前の2.5倍、416人が訪れ、過去10年で最多だった。
 「仕事がなくなり家賃が払えない」「家を失ったが働き口が見つからない」。相談は飲食店などサービス業の非正規雇用の人に多く、10~20代の女性の姿も。稲葉さんは「困窮者への現金給付や住宅確保給付金の要件緩和などを示して」とし、「新自由主義からの転換をリップサービスにしないでほしい」と期待した。
 宮城県丸森町のコメ農家、大内喜博さん(38)は「コロナを早く収束させ、正常に戻すことが一番」と語る。コロナ禍で外食需要は冷え込み、主食用米の価格が下落。経営を直撃した。
 2年前の台風19号の被害からは復旧したが、コロナ禍は先が見通せない。米価低迷の長期化に「お手上げする農家が増える」と危機感を募らせ、「生産調整し、過剰米の買い取りもやってもらいたいのが本音だ」と話した。 (C)時事通信社