岸田文雄政権が成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現に動きだした。8日の閣議では新型コロナウイルス禍で打撃を受けた困窮世帯や事業者への支援を柱とする「数十兆円規模」の追加経済対策の策定を指示。分配機能の強化による中間層の所得拡大に向けて「実現会議」も早期に設置する方針だ。
 首相は閣議で「来年春までを視野に、(コロナ対策による)人流抑制などの影響を受けた方々へ経済支援を実施する」と表明。衆院選後に財源の裏付けとなる2021年度補正予算案を編成し、年内成立を目指す。
 事業者支援では、地域・業種を限定せずに事業規模に応じた給付金の支給を検討。また、個人向けは非正規労働者や子育て世帯などを対象とした給付金を念頭に置く。公明党は衆院選公約で18歳以下を対象とした一律10万円相当の給付を打ち出しており、今後調整が必要となる。内閣府幹部は「いずれにしてもお金の掛かるメニューが並ぶ」と話す。
 競争原理を重視する新自由主義からの転換を掲げる首相は、所得再分配を通じた分厚い中間層の復活を目指す。その新たなビジョンを具体化するのが「新しい資本主義実現会議」で、山際大志郎経済再生担当相は8日の記者会見で「環境が整えば月内にも開く」と表明した。
 同会議では、賃上げを実施する企業への税制優遇や金融所得課税の強化、介護士や保育士らの待遇改善などが議論される見通し。ただ、マクロ経済政策の司令塔となる経済財政諮問会議との役割分担は不透明だ。大正大の小峰隆夫教授は「新政権は独自色を打ち出そうと新しい会議体をつくりたがる。屋上屋を架すことになる」と指摘している。 (C)時事通信社