【サンパウロ時事】ブラジル・サンパウロで新型コロナウイルスに感染し、病院で191日に及ぶ闘病生活を送った末に生還した市北部在住の日系2世の男性(72)の元に、入院費264万7000レアル(約5400万円)の請求書が届いた。男性や家族は頭を抱えつつも、支払いを模索。ネットでは、近所で働き者として知られる男性への支援の輪が広がり始めた。
 この男性は、沖縄・福岡両県にルーツを持つマサトシ・ヒガさん。長年新聞スタンドを経営してきたが、新型コロナワクチンの1回目の接種後間もない今年3月下旬、仕事中に突然40度の高熱で倒れた。当時、公立病院はどこも病床が埋まっており、家族はやむなく市内の私立病院へ入院させた。ヒガさんは入院中に脳卒中や腎不全を併発したため集中治療室(ICU)を行き来。リハビリを終え、ようやく退院できたのは今月4日だった。
 公立病院が無料のブラジルでは、私立をカバーできる保険は高額のため普及しておらず、ヒガさんも無保険。当初はヒガさんの積立預金で賄える金額だったが、ICUから動かせない緊迫した状態が続いたため、膨れ上がったという。
 ヒガさんの長女で教員のジュリアナさん(37)は時事通信の取材に「病院側はとてもよくしてくれた。とても感謝している」と強調。「費用について警告してくれたが、父の命を最優先した。こんなに入院が長引き、費用が高くなるとは思わなかったが、何とか支払いたい」と語った。ヒガさんは店を売って一部に充てる方針。
 ジュリアナさんはネットで200万レアルを目標に募金を呼び掛けている。「父は(気質が)ニホンジンなので、他人に助けを請うことを恥ずかしがっている」(ジュリアナさん)というが、8日までに23万7000レアル(約482万円)が集まった。 (C)時事通信社