今年(2021年)5月19日に発売された、変形性関節症(OA)を適応とする関節機能改善薬ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム(DF-HA、商品名ジョイクル)。販売元の小野薬品工業と製造販売元の生化学工業は市販直後調査の3カ月目集計として中間報告をまとめ、公表した。承認日の3月23日~8月18日に報告された209例(308件)の副作用発現状況を収集・分析したもので、ショック・アナフィラキシー発現例は副作用報告全体の3割で、うち8割近くが重篤だった。6月1日に厚生労働省が発表した、同薬投与後にアナフィラキシーショックを来した80歳代の女性1例の死亡例以外に、今回、アナフィラキシー発現例で後遺症が残った患者が2例報告され、うち1例は永続的または顕著な障害・機能不全に至ったことが明らかになった(関連記事「変形性関節症薬ジョイクルにブルーレター発出」)

死亡例などの報告を受け6月にブルーレター発出

 DF-HAをめぐっては、投与患者10例に重篤なアナフィラキシーショック、アナフィラキシー反応などが現れ、うちアナフィラキシーショックを来した80歳の女性1例が死亡したとして、厚労省は6月1日に添付文書を改訂するともに安全性速報(ブルーレター)を発出した。添付文書に「警告」を新設して「緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与し、投与後も十分な観察を行うこと」と明記し、注意を促していた。

 DF-HAの市販直後調査の期間は、2021年5月19日~11月18日で、今回の中間報告のデータ収集期間は3月23日~8月18日。8月18日時点で推定投与患者数は3万444例(出荷数量から算出)とされ、今回の副作用報告は209例(308件)で、うち重篤例は29.2%(61例、死亡1例)、非重篤が70.8%(148例)だった。

 内枠は女性が72.7%(152例)、男性が13.9%(29例)で、残る13.4%(28例)は不明だった。20~80歳代と幅広い年齢層で発生しており、70歳以上の高齢者が半数以上(112例)を占めていた〔70歳代58例(27.8%)、80歳代53例(25.4%)、90歳代1例(0.5%)〕。

 DF-HAはOAの治療に使用されるが、副作用報告の投与部位は、膝関節が62.7%(131例)、股関節が11.5%(24例)、膝・股の両関節が0%、不明が25.8%(54例)だった。

4分の3が回復・軽快

 アナフィラキシーが報告された61例を詳細に分析した結果、77.0%(47例)が重篤と判定され、そのうち68.1%(32例)が治療のため入院または入院期間の延長が必要だった。男女別では、女性が80.3%(49例)を占め、男性は6.6%(4例)だった(不明が8例)。年齢別に見ると、40~90歳代で認められ、最も多い年齢層は70歳代と80歳代で全体の60.7%を占めた(順に27.9%、32.8%)(図1)。

図1.ショック・アナフィラキシー発現例の年齢分布

 61例の転帰を見ると、57.4%(35例)は回復、18.0%(11例)は軽快と4分の3が良好であった一方で、3.3%(2例)は回復したものの後遺症が残り、1.6%(1例)は死亡した(死亡例については6月1日に厚労省が既報)。19.7%(12例)は不明だった(図2)。

図2.ショック・アナフィラキシー発現例の転帰

 (図1、2ともにジョイクル関節注30mgの市販直後調査中間報告から抜粋、編集部作成)

 後遺症が残存した2例は54歳女性、82歳女性。前者はDF-HAの初回投与後にアナフィラキシーショックを発症し、直ちに処置が行われたが心肺停止となり、低酸素脳症を来し、永続的または顕著な障害・機能不全が残存したという。後者は、同薬初回投与日にアナフィラキシー反応が認められ、入院加療により翌日退院した際に足元の痒感が残存した。

投与から30分経過後も4割弱にアナフィラキシー発現、投与2回目以降でも

 さらに、ショック・アナフィラキシーの発現時刻について報告のあった47例を詳細に調べたところ、DF-HA投与から30分以内の発現が63.8%(30例)は、30分以降は36.2%(17例)であった。30分以降に発現した17例の転帰を見ると、回復・軽快した14例は患者が医療機関に連絡あい、処置につながったという。ただし、残る3例中2例の転帰は不明で、1例は死亡している。

 また、ショック・アナフィラキシー発現までの同薬の投与回数についても分析。その結果、初回投与後が39例、2回目投与後が7例、3回目投与後が1例、不明が14例だった。

 6月1日付の安全性速報では、同薬投与後少なくとも30分間は医師の管理下で患者の状態を十分観察し、その後異常が認められた場合には速やかに医療機関を受診することを求めている。今回の中間報告では、投与直後に限らず、投与約3時間後にもショック・アナフィラキシー例が報告されている点に留意するとともに、2回目以降でも同事例が報告されているとして「2回目以降の投与時にも初回投与時と同等の準備、観察ならびに患者指導をしてほしい」と注意を呼びかけている。

 なお、アスピリン喘息および動脈管収縮などの胎児への有害作用の報告はなかった。

 両社は、今回の中間報告のデータは承認後に取集した自発報告などの集計であり、DF-HAの総使用症例数は明らかでないことから「発現頻度は不明」としている。

(小沼紀子)

変更履歴(2021年10月13日):記事を一部を修正しました