ドイツ・University Medicine GreifswaldのHelena U. Zacharias氏らは、同国の横断的観察研究Study of Health in Pomerania-Trend baseline(SHIP-Trend-0)のデータを用いた検討の結果、脳MRI画像で大脳白質高信号域(WMH)として描出される白質病変と閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)との間に強い関連が認められ、OSAが白質病変の治療可能な病態機序の1つである可能性が示唆されたとJAMA Netw Open2021;4:e2128225)に発表した。

OSAの低酸素状態が白質病変の発生に関与の可能性

 WMHは高齢者、認知症患者、脳卒中患者のMRI画像でよく観察される。脳微小血管障害やラクナ梗塞、微小出血などのマーカーであり、認知症や認知機能低下、脳卒中、死亡、歩行障害、平衡障害、抑うつのリスク上昇に関連することが示唆されている。

 WMHの発生機序には虚血または低酸素状態、脳血流量低下が関与する可能性が指摘されている。これらはOSAの主な特徴と一致し、心血管疾患、代謝性疾患、精神疾患の重大な危険因子とされている。OSAもWMHも高齢者での有病率が高いが、これまでOSAとWMHとの関連は十分に研究されていなかった。

 今回の研究対象は、SHIP-Trend-0研究の参加者のうちWMHのデータが得られ、さらに睡眠検査室で睡眠ポリグラフ測定を1晩実施して無呼吸低呼吸指数(AHI)および酸素飽和度低下指数(ODI)のデータが得られた529例〔平均年齢52.15歳、標準偏差(SD)13.58歳、女性53%〕。

 主要評価項目は、1.5T脳MRI画像の自動セグメント化を含む画像処理法(Brain 2016;139:1164-1179)を用いて測定したWMH量とした。

無呼吸低呼吸指数および酸素飽和度低下指数と強い関連

 解析対象529例のうちOSAと診断された患者は、AHIの診断基準では209例(40%、平均AHI 7.98回/時、SD 12.55回/時)、ODIの診断基準では102例(19%、平均ODI 3.75回/時、SD 8.43回/時)だった。

 性、年齢、頭蓋内容積、体重を調整後の多変量線形回帰モデルによる解析の結果、WMH量とAHI(β=0.024、95%CI 0.011~0.037)およびODI(同0.033、0.014~0.051)との間に有意な正の強い関連が認められた(ともにP<0.001、Wald test)。

 これらの関連は、WMHの確立された危険因子(高血圧、糖尿病、トリグリセライド値、喫煙、身体活動度などの血管、代謝、生活習慣危険因子)を調整後も維持され、WMHとOSAとの独立した強い関連が示唆された。

OSAは大脳白質高信号域の各領域と特異的に関連

 WMHの領域別に解析したところ、前部脳室周囲、後部脳室周囲、背部脳室周囲、深部白質の全4領域でWMH量とOSAとの間に正の関連が認められた。最も強い関連は、前部脳室周囲WMH量とAHI(β=0.0275、95%CI 0.013~0.042、P<0.001)およびODI(同0.0381、0.016~0.060、P<0.001)、背部脳室周囲WMH量とAHI(同0.0165、0.004~0.029、P=0.008)との間に認められた。

(太田敦子)