治療抵抗性高血圧に対する降圧治療に関しては腎デナベーションを含め数多くの報告があるが、生活習慣の改善による降圧効果を検証した大規模かつ長期的な研究は少なかった。こうした中、米・Duke University Medical CenterのJames A. Blumenthal氏らは、治療抵抗性高血圧患者に対する4カ月間の食事と運動のプログラムによって、診察室血圧値および24時間自由行動下血圧値がいずれも有意に低下したとするランダム化比較試験(RCT)TRIUMPHの結果をCirculation2021; 144: 121201226)に発表した。

栄養士や臨床心理士など多職種で介入

 適切な用量の降圧薬を3種類以上投与しても降圧目標値を達成できない治療抵抗性高血圧患者は少なくない。これまでの報告から、成人高血圧患者の20~30%は治療抵抗性高血圧と推定されている。こうした中、治療抵抗性高血圧の有効な治療法を明らかにするため、第一選択薬以外の降圧薬や、腎デナベーションをはじめとするデバイスを用いた治療など、さまざまな治療法の研究が重ねられてきた。しかし、治療抵抗性高血圧に対する生活習慣是正の有効性を検証した大規模かつ長期的な研究は少なかった。

 そこで、Blumenthal氏らは今回、治療抵抗性高血圧患者に対する4カ月間の生活習慣是正プログラムの有効性について検討するため、RCTを実施した。同プログラムは、栄養士からDASH食やカロリー制限、減塩について指導を受け、食行動の改善や問題解決、長期的な行動変容の維持について臨床心理士のセッションを毎週受講、心臓リハビリテーション施設で初回時の心拍数予備能の70~85%の運動を30~45分間、週3回行うというもの。

 対象は、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を6週間以上投与しても降圧目標値〔収縮期血圧(SBP)130mmHg未満または拡張期血圧(DBP)80mmHg未満〕を未達成または、4種類以上の降圧薬の使用によりDBPの高圧目標値は達成しているもののSBP値は120mmHg以上の治療抵抗性高血圧患者140例(平均年齢63歳、女性48%、糖尿病合併例31%、CKD合併例21%)。同プログラムを実施する群(Center-Based Lifestyle Intervention;C-LIFE群)90例と、標準化された教育〔血圧管理に関する1時間の教育セッションを1回実施し、C-LIFE群と同じ食事指導(DASH食の方法を含む)、運動の指導内容が記載されたワークブックを配布〕と医師の助言のみを行う群(Standardized Education and Physician Advice;SEPA群)50例を2:1でランダムに割り付けた。

 なお、両群とも降圧薬の使用は主治医の指示に従い継続することが勧められた。

 主要評価項目は診察室で測定したSBPの変化量、副次評価項目は24時間自由行動下血圧、心血管疾患の各種バイオマーカーなどであった。

C-LIFE群群でSBP値が12.5mmHg低下

 解析の結果、SBP値のベースライン時からの変化量は、SEPA群の-7.1mmHg(95%CI-10.4~-3.7mmHg)に対してC-LIFE群では-12.5mmHg(95%CI-14.9~-10.2mmHg)と有意に大きかった(P=0.005)。また、24時間自由行動下血圧値(SBP値)についてはSEPA群では-0.3mmHg(95%CI-4.0~3.4mmHg)と変化が認められなかったのに対して、C-LIFE群では-7.0mmHg(95%CI-8.5~-4.0mmHg)と低下を示し、両群で有意な差が認められた(P=0.001)。

 さらに、副次評価項目のうち、圧反射感受性(BRS)や高周波心拍変動(HF-HRV)、血流依存性血管拡張反応(FMD)の改善度も、C-LIFE群が有意に良好であった。一方、脈波伝播速度(PWV)および左室心筋重量は有意な差はなかった。

 これらの結果に基づき、Blumenthal氏らは「治療抵抗性高血圧患者の血圧は食事・運動療法によって低下させることができる。心臓リハビリテーション施設を拠点とした4カ月間の構造化された食事・運動プログラムの実施は、診察室血圧および24時間自由行動下血圧を有意に低下させ、一部の心血管疾患のバイオマーカーを改善することが示された」と結論している。

(岬りり子)