中外製薬は昨日(10月14日)、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の患者を対象に、抗インターロイキン(IL)-6受容体抗体サトラリズマブ(商品名エンスプリング)の有効性を検討した国際共同第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験SAkuraStar(単剤)およびSAkuraSky(免疫抑制薬併用)の盲検解除後4年にわたる同薬継続投与の結果を発表。患者の7割以上でNMOSDの再発が認められず、最長7年の長期投与においても良好な安全性プロファイルが確認された(関連記事「視神経脊髄炎治療薬サトラリズマブの実力」)。

9割以上で重度再発抑制を維持

 NMOSDは、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の神経細胞を支えるアストロサイトという細胞を抗アクアポリン(AQP)4抗体が攻撃することによって発症することが知られており、患者の7~8割は抗AQP4抗体を保有しているとされている。視覚および運動機能障害やQOL低下を伴う疼痛などが現れ、再発を繰り返すことが多く、そのたびに神経損傷や障害が蓄積されるため再発予防が重要となる。

 サトラリズマブはNMOSDの主な原因とされる炎症性サイトカインIL-6のシグナルを阻害し、NMOSDの再発を抑制する効果が期待されている。

 今回の盲検解除後における中央値4年間の継続投与期間において、サトラリズマブを継続投与された抗AQP4抗体(AQP4-IgG)陽性のNMOSD患者のうち、SAkuraStar試験で73%、SakuraSky試験で71%が無再発を維持〔投与192週(3.7年)後〕。回復を見込める可能性が低く、永続的な障害に至る重度再発が認められない状態はそれぞれ90%と91%で維持された。二重盲検期間における同薬の単剤投与および免疫抑制薬併用のいずれも、より長期間有効性が保たれることが示された。

 また、全投与期間中のサトラリズマブ投与群における有害事象および重篤な有害事象の発現率は、二重盲検期間中のサトラリズマブ群およびプラセボ群と同様だった。新たな安全性シグナルは認められず、両試験の二重盲検期間中に確認された安全性プロファイルが最長7年間の投与期間においても同様に確認された。

長期投与の重要なエビデンス

 今後は、AQP4-IgG陽性NMOSD患者〔未治療例またはリツキシマブ(またはそのバイオシミラー)治療に対する効果不十分例〕に対する新たな国際共同第Ⅲb相試験SAkuraBONSAIを開始予定である。サトラリズマブを2年間単剤投与し、MRIや光干渉断層計(OCT)などの臨床的測定法、血液および脳脊髄液のバイオマーカーを用いて評価する。

 中外製薬代表取締役社長・CEOの奥田修氏は「NMOSDは生涯にわたり進行するため、再発予防が重要な疾患であり、治療は数年に及ぶことが珍しくない。今回の研究結果はサトラリズマブを長期投与する上で重要なエビデンスを提供するものである」と述べるとともに、「同薬は、2021年9月からわが国で自己投与が認められ、在宅での治療も可能となった。引き続き同薬の適正使用の推進に努めていきたい」とコメントしている。

(渕本 稔)