感染性壊死性膵炎の治療では、低侵襲のカテーテルドレナージで開始して段階的に侵襲度を上げていくstep-up approachが取られ、国内外のガイドライン(GL)では被包化壊死(walled-off necrosis; WON)に至るまでドレナージを待機することが推奨されている。オランダ・University of AmsterdamのLotte Boxhoorn氏らは、感染性壊死性膵炎の患者104人を対象に多施設ランダム化優越性試験POINTER行い、より早期のドレナージにより患者の転帰が改善するかどうかを検討。その結果、GL推奨の待機的ドレナージに対する即時ドレナージの優越性は示されなかったとN Engl J Med2021; 385: 1372-1381)に発表した。

術後合併症に両群で差はなし

 POINTERの対象は、急性膵炎の発症後35日以内に画像ガイド下経皮的ドレナージまたは内視鏡ガイド下ドレナージを施行可能な感染性壊死性膵炎患者104例。感染性壊死性膵炎の診断直後に、ドレナージおよび抗菌薬投与をランダム化後24時間以内に行う即時ドレナージ群(55例)とWONに至るまで延期する待機的ドレナージ群(49例)に1:1でランダムに割り付け、6カ月追跡した。

 主要評価項目は、包括的な術後合併症の指標であるComprehensive Complication Index(CCI:スコア範囲0~100、高スコアほど合併症が重症)のスコアとし、追跡期間中の全ての合併症を組み入れた。

 解析の結果、CCI平均スコアは即時ドレナージ群の57に対し待機的ドレナージ群では58と、両群に有意差はなかった(平均差-1、95%CI -12~10、P=0.90)。

 6カ月以内の死亡率は、待機的ドレナージ群の10%に対し即時ドレナージ群では13%と大差なかった(相対リスク1.25、95%CI 0.42~3.68)。臓器不全の新規発症、出血、内臓穿孔または腸管皮膚瘻、膵液瘻、腹壁瘢痕ヘルニア、創感染などの重大な術後合併症の発生率についても有意差は認められなかった。

 また、有害事象の発現率は両群で同等だった。

急速増悪例では即時ドレナージも選択肢に

 一方、介入〔カテーテルドレナージおよび壊死組織除去(ネクロセクトミー)〕の平均回数は、待機的ドレナージ群の2.6回に比べて即時ドレナージ群では4.4回と多かった(平均差1.8回、95%CI 0.6~3.0回)。

 さらに、待機的ドレナージ群では19例(39%)が抗菌薬のみによる保存的治療を受けてドレナージまたはネクロセクトミーを回避し、うち17例が生存した。最終的にネクロセクトミーを要した患者は、待機的ドレナージ群の11例(22%)に対し即時ドレナージ群では28例(51%)だった(相対リスク2.27、95%CI 1.27~4.06)。

 以上を踏まえ、Boxhoorn氏らは「感染性壊死性膵炎患者における術後合併症の減少に関して、待機的ドレナージに対する即時ドレナージの優越性は示されなかった。さらに待機的ドレナージ群は侵襲的介入を受けた回数が少なく、3分の1を超える患者で抗菌薬のみによる保存的治療が奏効した。これらの結果は、感染性壊死性膵炎に対しまず抗菌薬による保存的治療を行うことの妥当性を裏付けるものである」と結論。「一方、即時ドレナージによる合併症および死亡の増加は認められなかったことから、臨床症状が急速に悪化するケースでは早期ドレナージが妥当な治療選択肢である可能性も示唆された」と付言している。

(太田敦子)