米・Duke University School of Medicine/Duke Clinical Research InstituteのG. Michael Felker氏らは、左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HF with reduced LVEF;HFrEF)の患者を対象に心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbilの有効性と安全性を検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験GALACTIC-HFの事後解析の結果をJAMA Cardiol2021年10月13日オンライン版)に発表した。LVEF 30%以下の重症HFrEF患者においてomecamtiv mecarbilは忍容性が高く、初回HFイベントと心血管死の複合エンドポイントを有意に改善した(関連記事「心筋ミオシン活性化薬が心不全の転帰を改善」)。

心不全・心血管死リスクが20%低下

 同試験では、HFにより入院中または試験開始前1年間に救急外来受診/入院歴があり、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅱ~Ⅳ度でLVEF 35%以下のHFrEF患者8,232例を登録。omecamtiv mecarbil群(25mg、37.5mgまたは50mg)を1日2回経口投与する群(OM群4,120例)とプラセボ群(4,112例)に1:1でランダムに割り付けて中央値で21.8カ月(範囲15.4~28.6カ月)追跡した。これまでの解析において、OM群では主要評価項目(初回HFイベントまたは心血管死の複合)をプラセボ群に比べて有意に改善することが示されていた。

 今回の事後解析では、LVEF 30%以下で登録前6カ月以内のHFによる入院歴を有する重症HFrEF患者2,258例(平均年齢64.5歳、男性78.9%、OM群1,106例、プラセボ群1,152例)におけるomecamtiv mecarbilの有効性と安全性を検討した。主要評価項目は初回HFイベントまたは心血管死の複合、副次評価項目は心血管死、安全性および忍容性とした。

 解析の結果、重症HFrEF患者ではプラセボ群に比べてOM群では主要評価項目のリスクが20%低下した〔ハザード比(HR)0.80、95%CI 0.71~0.90、P<0.001〕。一方、非重症HFrEF患者(5,974例)ではOM群における有意なリスク低下は認められなかった(同0.99、0.91~1.08、相互作用のP=0.005)。

 重症HFrEF患者における100人・年当たりの複合イベント発生数は、プラセボ群の42.6に対しOM群では34.3(絶対リスク低下8.3、P<0.001)、主要評価項目を1例回避するための治療必要数は12と算出された。

心・腎リスクは上昇せず

 副次評価項目の心血管死に関しては、重症HFrEF患者(プラセボ群に対するHR 0.88、95%CI 0.75~1.03、P=0.11)、非重症HFrEF患者(同1.10、0.97~1.25、P=0.14)とも両群で有意差はなかった(HF重症度の相互作用のP=0.03)。

 また、重症HFrEF患者においてOM群では忍容性が高く、プラセボと比べて収縮期血圧の変動(投与後24週までの群間差0.6mmHg、95%CI -0.7~2.0mmHg、P=0.35)、腎機能(クレアチニン値)の悪化(同-0.01mg/dL、-0.04~0.02mg/dL、P=0.53)、血中カリウム濃度に対する有害作用(同-0.03mmol/L、-0.08~0.02mmol/L、P=0.27)は認められなかった。

 以上を踏まえ、Felker氏らは「重症HFrEF患者において、omecamtiv mecarbilは初回HFイベントと心血管死の複合エンドポイントを有意に改善しうることが示された。これらのデータは、心・腎機能による制限から他のHF治療薬を使用できない患者におけるomecamtiv mecarbilの有用性を支持するものだ」と結論している。

(太田敦子)