エジプト・Alexandria University Faculty of Medicineおよびスペイン・Hospital Universitario Son EspasesのHanaa Shafiek氏らは、頻繁に増悪を繰り返す重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者358例を対象とする症例対照研究を行った結果、重症COPD患者において高用量の吸入ステロイド薬(ICS)の使用が緑膿菌感染症および死亡の独立した危険因子になる可能性が示唆されたとBMJ Open Respir Res2021;8:e001067)に発表した。ICSの使用自体はこれらのリスクと関連していなかった。

緑膿菌陽性群では増悪頻度と死亡率が上昇

 この症例対照研究では、喀痰採取可能で1年間に2回以上の増悪歴を有する重症COPD患者358例(平均年齢73±9歳、男性78%)を登録し、中央値で4年〔四分位範囲(IQR)3~8年〕追跡した。

 追跡期間中に喀痰培養検査で緑膿菌が検出された緑膿菌陽性群173例(48.3%)と、病原性細菌が全く検出されなかったか緑膿菌以外の病原性細菌が検出された緑膿菌陰性群185例(51.7%)との間で、臨床的および機能的特徴、ICS使用の有無(使用率)および1日使用量、生存率を比較した。

 解析の結果、緑膿菌陽性群は陰性群に比べてCOPD増悪の頻度(6.62±5.91回 vs. 4.08±3.61回、P<0.001)、予測1秒量に対する比率(対標準1秒量、FEV1%)に基づく気流制限の重症度(41.34±17.7 vs. 45.2±16.53、P=0.036)、死亡率(69.4% vs. 46.5%、P<0.001)が有意に高かった。

 ICSの使用率(87.9% vs. 82.7%、P=0.170)は両群で有意差がなかったが、ICSの1日使用量(プロピオン酸フルチカゾン相当量)の中央値は緑膿菌陽性群で有意に多かった〔500μg(IQR 250~1,000μg) vs. 400μg(IQR 200~1,000μg)、P=0.007〕。ICS使用者と非使用者で、血中好酸球数には有意差がなかった(270.8±318.4 vs. 252.5±263.5、P=0.692)。

使用の有無でなく1日使用量が危険因子

 多変量Cox回帰分析では、ICS使用の有無ではなくICSの1日使用量(高用量)が緑膿菌感染症〔ハザード比(HR)1.26、95%CI 1.01~1.57、P=0.040〕および死亡(同1.33、1.07~1.65、P=0.01)の独立した有意な危険因子であることが示された。

 一方、統計学的に有意ではないものの、ICSの使用により死亡率が低下する傾向が見られ(同0.55、0.24~1.30、P=0.172)、ICSの使用自体は死亡の保護因子である可能性が示唆された。また、緑膿菌感染症が死亡の有意な危険因子であることが示された(同1.59、1.15~2.20、P=0.005)。

 Kaplan-Meier法による解析では、高用量のICS使用により低~中用量のICS使用に比べて生存率が有意に低下することが示された(25% vs. 50%、P=0.001)。

 以上の結果を踏まえ、Shafiek氏らは「重症COPD患者においては、ICSの使用の有無ではなく1日使用量が緑膿菌感染症の重要な危険因子である可能性があり、高用量のICS使用が死亡の独立危険因子であることが示された。さらに、緑膿菌感染症がCOPD患者における死亡の重要な危険因子であることが示された」と結論している。

(太田敦子)