【フランクフルト時事】欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルス危機対策として昨年導入した1兆8500億ユーロ(約240兆円)の債券購入策について、ユーロ圏の景気回復を背景に、来春の終了に向けた議論を本格化させる。緊急措置として認めた南欧諸国への手厚い配慮をめぐっては、財政規律を重視するドイツなどとの意見対立が生じており、出口戦略の取りまとめは曲折も予想される。
 危機対策は来年3月末までの時限的な資金供給策。延長も可能だが、市場関係者の間では終了するとの見方が強い。ECBは年内の意見集約を目指す。
 8月のユーロ圏の鉱工業生産は、部品供給網の混乱で前月比1.6%減と落ち込んだ。ラガルドECB総裁は供給問題を「おおむね一時的」と分析。ユーロ圏の域内総生産(GDP)も「年末までにコロナ前の水準に戻る」と強気だ。
 ECBは異例の危機対策で、観光業への打撃が深刻なイタリアやギリシャの国債を積極的に購入。通常の量的緩和策ではユーロ圏各国の出資比率に準じて購入額を決める原則があるが、柔軟な姿勢で南欧諸国の企業の資金調達を支援した。
 フランス中銀のビルロワドガロー総裁は、こうした柔軟性が「昨春のような市場の混乱を沈静化させる効果がある」と主張。危機対策の終了後も、金融市場の混乱に備えて柔軟性を維持するよう訴えた。
 これに対し、ドイツ連邦銀行(中銀)のワイトマン総裁は、危機対策に「副作用があった」と批判。ECBによる国債の大量購入が、放漫財政を助長するリスクになると警戒感をにじませた。 (C)時事通信社