日銀は28日、前日に続き金融政策決定会合を開き、現在の大規模な金融緩和の維持を決めた。黒田東彦総裁は終了後の記者会見で、最近の世界的な物価上昇について「経済活動再開に伴う需要の急増に供給が十分追い付いていないためだ」と指摘。国内に関しては「海外と比べ落ち着いており、インフレ高進のリスクは極めて限定的だ」と述べ、欧米などと物価動向に違いが生じているとの認識を示した。
 日銀が28日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2021年度の実質GDP(国内総生産)成長率を前年度比3.4%(7月時点は3.8%)に引き下げた。消費者物価上昇率の見通しも0.0%(同0.6%)に下方修正。携帯電話通信料の引き下げなどが影響した。22、23年度の物価見通しは、原油などエネルギー価格の高騰や円安進行にもかかわらず据え置いた。一方、米国では9月の消費者物価指数の上昇率が前年同月比5%を超えるなどインフレ格差が鮮明となっている。
 黒田総裁は、その背景について、国内では新型コロナウイルス感染拡大下でも雇用を維持したため、需要回復への対応が容易だと説明。従業員の解雇を進めた米国などと異なり、日本は賃上げで人手をかき集める必要がなく、それが値上げの鈍さにつながっているとの認識を示した。
 エネルギー価格の上昇だけでなく、円安の進行も物価の押し上げ要因になる。輸出企業には恩恵があるが、家計にとっては食料品やガソリンの値上がりなどデメリットが大きい。
 これに対し、黒田総裁は一時1ドル=114円台まで進んだ最近の円安に関し「総合的にみて(経済に)プラスだというのは確実だ」と強調。現在の相場水準を問題視しない考えを示唆した。 (C)時事通信社