動物との触れ合いで癒やしを与える「アニマルセラピー」が広がっている。新型コロナウイルスの影響が長引く中、学生の孤独感を和らげようと大学でセラピー犬体験会が開催された。障害者施設では動物と暮らせる環境整備が進む。
 緊急事態宣言の解除を受け、対面授業が再開した昭和女子大キャンパス(東京都世田谷区)。生方愛美さん(22)は21日、セラピー犬「エイト」の背中を優しくなでながら「癒やされます」と顔をほころばせた。
 コロナ禍で生活は一変した。「4年生になると授業が減り、オンライン授業で友人とも会えなかった」。東北地方の実家に帰省できず、かわいがっていた猫と会えないのがつらかったという。
 相談室に孤立を深める学生の声が寄せられ、大学が体験会を企画。神奈川県藤沢市の「アニマルセラピーこころサポート協会」が派遣協力した。
 同協会代表の日下部久仁子さんによると、保護犬などを養成し、派遣先は企業にも広がる。働き手の「心の健康」の重要性が増す中、日下部さんは「うちには必要ないと言う企業こそ興味を持ってほしい」と話す。
 秋田市の障害者グループホーム「にゃおん秋田市さくら」。女性5人が1歳の猫「みいちゃん」と一緒に暮らす。寝顔を眺めたり、遊んだりして相好を崩し、施設管理者の田中竜二さんは「気持ちが和らぎ、だんらんの雰囲気ができる」と語る。
 施設を全国展開する「アニスピホールディングス」(東京都千代田区)は、3年前から保護犬や猫を引き取り、約600施設で一緒に生活できるようにした。みいちゃんも飼育放棄されていたところを動物愛護センターに保護された。藤田英明社長は「障害があっても動物と暮らせるのが普通になってほしい」と話す。
 公益社団法人「日本動物病院協会」(中央区)は1986年からセラピー犬などを派遣している。年1000回程度に上るが、担当者は「動物やボランティア不足から依頼を断らざるを得ないこともある」と明かす。
 こうした取り組みは殺処分の減少につながる可能性があり、環境省も注目する。来年度に実態調査などを検討しており、保護犬などの活躍の場が広がりそうだ。 (C)時事通信社