新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い、特に入院および死亡リスクが高い高齢または基礎疾患のあるCOVID-19患者で有効な治療薬が求められている。カナダ・William Osler Health CentreのAnil Gupta氏らは、重症化リスクが高い軽症~中等症のCOVID-19患者を対象にソトロビマブの有効性と安全性を検討する多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化比較試験COMET-ICEを実施。同薬の早期投与による有効性および安全性が示されたとの中間解析結果を、N Engl J Med2021年10月27日オンライン版)に発表した。

症状発現から5日以内の外来患者に点滴静注

 ソトロビマブは、COVID-19発症の初期段階で重症化リスクが高い患者に投与することで進行を抑制するモノクローナル抗体。日本では、今年(2021年)9月にCOVID-19治療薬として特例承認を取得した。

 Gupta氏らは、ソトロビマブの有効性および安全性を検討する目的でCOMET-ICEを実施した。対象は、4カ国(カナダ、米国、ブラジル、スペイン)の37施設で登録した、症状発現から5日以内かつ重症化の危険因子を1つ以上有する軽症~中等症のCOVID-19外来患者583例。ソトロビマブ500mgを1時間かけて単回点滴静注する群(ソトロビマブ群)291例とプラセボ群292例に1:1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、COVID-19による24時間超の入院またはランダム化後29日以内の死亡の発生率とし、intention-to-treat(ITT)集団で解析した。

筋肉内注射の研究も進行中

 中間解析の結果、主要評価項目の発生率は、プラセボ群の7%(21例)に対し、ソトロビマブ群では1%(3例)と有意なリスク低減が示された(調整相対リスク低下率85%、97.24%CI 44~96%、P=0.002)。集中治療室への入室を要したのはプラセボ群の5例で、うち1例が死亡した。

 安全性評価の対象は、ソトロビマブ群が430例、プラセボ群が438例。有害事象は、それぞれ17%、19%で報告された。そのうち重篤なものは、プラセボ群の6%に対し、ソトロビマブ群では2%と少なかった。

 以上から、Gupta氏らは「重症化リスクが高いCOVID-19外来患者へのソトロビマブの早期投与により重症化リスクが低減したことから、同薬の有効性が示された」と結論。さらに、「現在、研究が進んでいる同薬の筋肉内注射が実現すれば、治療の利便性向上と普及促進につながるだろう」と付言している。

(比企野綾子)