新型コロナウイルス禍の長期化を受け、国内航空大手2社の黒字化が遅れている。ANAホールディングス(HD)は2022年3月期の連結純損益予想を、従来の35億円の黒字から一転して1000億円の赤字に修正。日本航空も1460億円の赤字を見込む。両社とも足元の感染縮小を背景に年度後半の業績回復を見込むが、想定通りに旅客数が戻るかは予断を許さない状況だ。
 「団体旅行の需要は非常に速いスピードで回復している」。日航の菊山英樹専務は2日の決算記者会見で下半期の旅客動向に強い期待を示した。
 コロナ禍の直撃を受ける両社の業績は、ともに大幅な赤字を記録した21年3月期から改善傾向を示す。けん引役の一つが国際線の貨物収入。旅客機の一部を貨物に振り向けて「巣ごもり需要」を取り込み、日航が前年同期比2.1倍の808億円、ANAHDが2.7倍の1383億円と大幅に増えた。
 ただ、夏場の感染爆発は大きな誤算となった。相次ぐ緊急事態宣言の延長に東京五輪・パラリンピックが原則無観客開催となった打撃も加わり、7~9月期の旅客数は想定よりも低迷。今後も、渡航制限の影響で国際線の旅客は早期の回復を見込めない。
 一方で、ワクチン接種の進展や感染者数の減少を背景に、国内旅客は日航が来年3月の平均でコロナ禍前の92%、ANAが年度末で85%の水準にまで回復する見通し。ANAHDの片野坂真哉社長は「航空にとっては追い風の環境だ」と来年度の黒字化にも自信を示す。しかし、「感染第6波」が上向きかけた需要に冷や水を浴びせるとの懸念が依然くすぶり、両社ともなお綱渡りの状況が続く。 (C)時事通信社