【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は、新型コロナウイルス危機対応で打ち出した大規模な量的金融緩和策の縮小を決めた。市場と十分に対話を重ねたため、懸念された混乱は起きていない。だが半導体から人手の不足までに至る供給制約が長引き、インフレが高進。早期利上げ観測が浮上する中、パウエル議長は緩和終了後に控えるゼロ金利解除をめぐって難しいかじ取りを迫られそうだ。
 FRBには、2013年にバーナンキ議長(当時)が量的緩和縮小を示唆した際、新興国からの急激な資金引き揚げといった混乱を招いた苦い経験がある。そのため、パウエル議長は今年6月から緩和縮小への「地ならし」に着手。市場は今回の縮小決定を完全に織り込んでいた。
 南アフリカ準備銀行(中央銀行)のハニャホ総裁は「13年時よりわれわれは脆弱(ぜいじゃく)ではない。米緩和縮小による市場の調整を受け入れられる」と話す。関係者の冷静な対応を見れば、パウエル氏の政策運営は成功と言える。
 ただ、一段の金融政策正常化となる利上げへのハードルは高そうだ。現在のインフレ高止まりの背景にはコロナ禍からの経済再開に伴う需要急増があり、米国内だけでなく、世界的なサプライチェーン(供給網)の目詰まりによる側面が大きい。
 パウエル氏は「われわれの政策では供給制約を緩和できない」と限界を認める。供給問題が解消せず、物価高止まりが続けば、FRBが望まない拙速な利上げを余儀なくされる可能性も否定できない。 (C)時事通信社