日本小児科学会は10月29日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(以下、ワクチン)の若年男性への接種後の心筋炎関連事象について、公式サイトで情報を公開した。国内でも頻度はまれながら、10~20歳代の男性への接種においてその他の年代と比べモデルナ社ワクチン接種後の心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)が疑われる報告頻度が高いことから注意するよう呼びかけた。

10~20歳代男性への情報提供が大切

 11月2日の首相官邸の発表によると、これまでに国内ワクチン総接種回数は1億9,002万2,071 回。11月1日時点における12~19歳の接種者は、1回が631万9,526人、2回完了者が498万4,356人で、それぞれ12~19歳人口の70.14%、55.32%を占める。

 若年男性のmRNAワクチンについては、接種が先行していた海外から、多くは軽症であるものの2回接種後に、心筋炎関連事象の発生率が高いことが報告された。わが国の調査でも、頻度はまれながら、10~20歳代の男性では心筋炎関連事象の発生がその他の年代の男女に比べて多く、特にモデルナ製ワクチンで顕著で()、ワクチン接種後2日目をピークとして数日以内に発生することが明らかとなっていた。

表. 心筋炎・心膜炎が疑われた報告頻度(100万接種当たり) 

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(厚生労働省の発表資料)  

 10月22日に開催された第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、2021年度第20回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)の報告では、国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院例のうち、9月28日時点で集計可能だった4万9,321人において、感染者100万人当たりの心筋炎関連事象発生者数は男性923人、女性702人。このうち、10~29歳の男性100万人当たりの心筋炎関連事象数は893人(0.09%)であった。

 この点から、厚生労働省は「COVID-19により心筋炎や心膜炎を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を発症する確率と比べて高いことなども踏まえ、現時点では接種によるベネフィットがリスクを上回っており、全年代において、ワクチン接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」との認識を示した。しかし、「10~20歳代の男性への接種に当たっては、ファイザー製ワクチンに比べてモデルナ製ワクチン接種後の心筋炎関連事象が疑われる報告頻度が明らかに高いことから、十分な情報提供の上、ファイザー製ワクチンの接種も選択できることとする」とし、本人がモデルナ製ワクチンの接種を希望する場合は、「COVID-19に合併する心筋炎関連事象の発生頻度よりは低いことから、接種可能のままとする」とまとめている。

 これらを受け、同学会は「10~20歳代男性にワクチン接種する際、接種後特に数日間は無理をせず、激しい運動は避けるよう伝え、胸痛、息切れ、動悸などの症状が認められた場合は、速やかに医療機関を受診するよう情報提供することが大切」と指摘。「これらの症状を訴えて受診した患者には、ワクチン接種歴を聴取するとともに、心筋炎・心膜炎を疑った病歴聴取、身体所見、検査(心電図、血中の心原性酵素、心エコー検査など)などが必要である」と注意を呼びかけている。

(編集部)