新型コロナウイルスのワクチン接種進展に伴う世界的な需要回復を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、量的金融緩和の縮小を決めた。インフレ懸念の台頭が背景にある。一方、日本ではガソリンや食料品の一部の値上がりにとどまり、日銀が目標とする2%の物価上昇には程遠い状況が続く。黒田東彦総裁が推し進める大規模緩和策は正常化への道筋が描けない。
 黒田総裁は4日昼、首相官邸を訪れ、岸田文雄首相と会談し、2013年1月に政府・日銀がとりまとめた2%の物価目標実現を明記した共同声明の考え方を再確認した。
 直近9月の消費者物価指数(除く生鮮食品)の伸び率は、携帯電話通信料の値下がりの影響で前年同月比0.1%にとどまる。一方、米国の個人消費支出物価指数は4%を超えインフレ傾向が鮮明だ。市場では来年の米利上げも視野に入れる。
 黒田総裁は首相と会談後、記者団に対し、米国の量的緩和縮小について「欧米と日本の状況は少し異なる」と指摘。現在の大規模緩和を続ける考えを強調した。
 FRBが異例のコロナ危機対応からの脱却を進め、日米の金利差が拡大すれば円安に拍車が掛かり、燃料や食料品などの値上げ圧力が一段と高まりかねない。生活必需品の値上がりに見合った賃金の上昇が期待できなければ個人消費を冷やし、景気に悪影響を及ぼす恐れがある。 (C)時事通信社