【ニューヨーク時事】米国で新型コロナウイルスの感染拡大を受け、仕事を離れた人の復帰が進んでいない実態が5日、米労働省が公表した10月の米雇用統計で明らかになった。サービス産業では経済活動の再開に伴って需要が回復。しかし、働き手の数がこれに追い付かず、企業は人手不足に頭を抱えている。
 雇用統計によると、16歳以上の米人口のうち、働く意欲がある人の割合を示す「労働参加率」は10月に61.6%と、前月比で横ばいにとどまった。コロナ禍前の2020年2月は63.3%。一時60.2%まで落ち込んだ後、20年6月に61%台に戻したが、その後も約2ポイントの差が縮まっていない。
 米国ではコロナワクチンが普及した今春以降、飲食店や小売店などの営業再開が本格化すると、人手不足が深刻化。全米レストラン協会によれば、飲食店の就業者数はコロナ禍前を約80万人下回ったままだ。9月時点で8割超の飲食店が必要な従業員数を確保できておらず、7割近くは営業時間の短縮を余儀なくされている。
 コロナ禍を機に、高齢労働者の早期退職も相次いだ。大規模な金融緩和で株式や住宅などの保有資産価格が上昇。「経済的に余裕が生まれ、仕事に戻らない人が増えている」(米エコノミスト)とみられる。
 こうした事情から、人手確保に向けて賃上げの動きが活発化。その結果、10月の平均時給は前年同月比で5%近く伸びた。半面、「より良い待遇を求めて離職する人が多く、定着率が悪い」(同)ことも人手不足に拍車を掛けており、景気回復の足かせになるという懸念も浮上している。 (C)時事通信社