政府が8日、新型コロナウイルス感染症の水際対策を緩和した。ワクチンを接種したビジネス関係者は、海外出張の日本人帰国者を含め、入国後の待機期間を原則3日間に短縮。海外のビジネス関係者や留学生、技能実習生の入国を認めた。経済界からは、歓迎の声が相次ぐ一方、空港での煩雑な書類手続きの簡素化などの要望が出ている。
 「入国管理の適正化に向けた大きな一歩だ」。経団連の十倉雅和会長は8日の記者会見で、待機期間の短縮を評価した。海外出張の多い商社は「完全にポジティブ」(石井敬太伊藤忠商事社長)と歓迎。海外に生産拠点を置く製造業では「東南アジアなどの工場で新設備を導入する際に必要な現地従業員の訪日研修を再開できるのは大きい」(自動車部品大手)との声が上がる。技能実習生の受け入れが止まっていた農家にとっても「人手不足が改善されれば現場には喜ばしいこと」(全国農業協同組合中央会広報)と受け止められた。
 ただ、政府は入国制限緩和の条件として、企業などに訪日ビジネスマンや海外出張からの帰国者らの行動管理を求めている。「多岐にわたって細かいルールがあり、企業が出張可能と判断するにはもう少し時間が必要だ」(航空会社関係者)との見方がある。「渡航先の水際対策にもよるため、一気に出張回復とはいかない」(電機大手)と慎重姿勢の企業もある。
 経済界は、入国時の手続きの煩雑さを課題に挙げる。経団連は8日、ワクチン接種者の待機免除のほか、ワクチン証明などをデジタル化し、空港での書類手続きの簡素化を早急に実現するべきだとする要望書をまとめた。
 また、今回の緩和では、訪日外国人観光客は対象外。大手旅行会社からは、観光客の解禁について「早ければ早いほどいい」と切望する声が上がる。日本旅行業協会の菊間潤吾会長は「(政府の)実証実験を経て、観光における双方向の交流が再開されることを期待する」とコメントしている。 (C)時事通信社