歩道橋の長いスロープ、駅では5基のエレベーターを乗り継ぎ―。大阪市では障害者らの訴えを受け、バリアフリー事業が見直された。専門家は「当事者抜きで議論を進めるため、おかしなアイデアが出てくる」と話す。
 大阪を代表するターミナル・梅田駅周辺では2024年の一部オープンを目指し、大規模再開発が進む。一連の整備でJR東海道線の支線が地下化され、ガード下の歩道(長さ約25メートル)が廃止される。
 近くには障害児施設や市営団地があり、車椅子や高齢者の通行も多い。しかし、16年に公表された代替の歩道橋案にはエレベーターがなく、80メートルのスロープを上り下りする必要があった。
 大幅な遠回りを強いられる上、車椅子で長いスロープの利用は難しく、市民が署名活動を展開。市は計画を修正し、エレベーターの設置を決めた。
 脳性まひで車椅子を利用する男性は16年、JR京橋駅(同市)構内で乗り換え時に5基のエレベーターを乗り継ぐ必要があるとして、大阪地裁に提訴した。
 JR西日本や京阪電鉄などが乗り入れる京橋駅は同市の「東の玄関口」に当たる。乗り継ぎの回数が減るようJR西がエレベーター3基の増設を決め、男性は訴訟を取り下げた。一方、市の事業計画では、09年までに「対策済み」とされていた。
 バリアフリーが専門の三星昭宏・近畿大名誉教授は「基準を満たしても、利用可能かどうかは別の問題。事業計画を定期的に修正し、当事者の意見を反映させる仕組みが必要だ」と話す。 (C)時事通信社