看護師や介護職員、保育士の賃上げに関する政府の議論が9日、本格的に始動した。岸田文雄首相は「年末までに具体的な結論を出す」と意気込むが、処遇改善に必要な財源をどう確保するか、既存の制度とどう整合性を図るかなど課題は多い。
 高齢化社会への対応や子育て世帯の支援に向け、介護職員や保育士らの確保は必須。政府も段階的に処遇改善に努めてきた。
 介護職員について政府は、一定のキャリアアップ制度を整えた事業者に人件費の原資を支給できるよう介護報酬を加算するといった仕組みを導入。それでも、介護職員の平均月収は全産業平均を約6万円下回るなど低水準にとどまっている。
 給与アップには多大な予算が必要だが、自民党総裁選や10月の衆院選でも恒久的な財源の在り方は明示されなかった。介護報酬を上げる場合、現行制度では保険料を引き上げる必要があり、国民の負担増につながる可能性も高いが、その点の議論も低調だった。
 そもそも看護師や介護職員、保育士の給与は水準や待遇、仕組みが異なり、政府内でも同じ検討会で議論することを疑問視する意見が根強い。
 財源確保の議論や国民の理解などハードルは高いが、看護師らの処遇改善は岸田氏が看板政策に掲げる「成長と分配の好循環」の柱だ。来年の参院選に向けて実績づくりを急ぐ政権にとって、その成否は大きな試金石となる。 (C)時事通信社