ファイザーは本日11月10日、5~11歳の小児に対する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(トジナメラン)について5~11歳の小児に対する適応拡大を厚生労働省に申請したと発表した。トジナメランの接種対象は現在12歳以上。今回の承認は、米食品医薬品局 (FDA)および欧州医薬品庁(EMA)への申請の根拠となった海外第Ⅱ/Ⅲ相試験の5~11歳に対する有効性および安全性のデータを基に行われた。臨床試験では9割と高い効果が得られている。

米国では5~11歳の小児にも接種を推奨

 日本に先立ち、FDA諮問委員会は10月26日、トジナメランのベネフィットがリスクを上回るとして接種を推奨することを賛成多数で決定した。その後、米疾病対策センター(CDC)が11月2日、トジナメランを5~11歳の小児に対しても接種を推奨すると発表。既に一部で小児への接種が開始されたと報じられている。

 米国での小児に対する承認は、5~11歳の小児約2,200例以上が対象の第Ⅱ/Ⅲ相ランダム化比較試験のデータに基づいて決定された。12歳以上における通常用量の3分の1に当たる10μgを21日間の間隔を空けて2回接種した結果、SARS-CoV-2感染を防ぐ有効性は90.7%と高く、安全性でも新たな懸念は示されなかった。

低用量の接種で、心筋炎関連事象の発生は減るか

 SARS-CoV-2ワクチンを5~11歳の小児に接種する利点としては、小児を感染から防御することに加え、周囲の者や同居する家族への二次感染を防ぎ、中でも重症化リスクの高い高齢者が感染を防ぐことが指摘されている。

 一方で、接種が先行していた海外から、トジナメランを含むmRNAワクチンの2回目接種後に若年男性で心筋炎関連事象の発生率が高いことが報告されている。ただし、5~11歳に対するトジナメランの用量は通常用量の3分1と低いことを踏まえると、心筋炎関連事象が他の年齢層より低く抑えられる可能性がある。

 若年男性におけるSARS-CoV-2ワクチン接種後の心筋炎関連事象について、日本小児科学会は10月29日に公式サイトで情報を公開(関連記事「小児科学会、心筋炎関連事象に注意を喚起」)。頻度はまれながら国内でも、10歳代および20歳代の男性において、ワクチン接種後2日目をピークとして数日以内に心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)の発生頻度がその他の年代の男女に比べて多いことが明らかになったと指摘。10~20歳代の男性にワクチンを接種する際の注意点を挙げている。

 具体的には、①接種後特に数日間は無理をせず、激しい運動は避ける、②接種後に胸痛、息切れ、動悸等の症状が認められた場合は、速やかに医療機関を受診するよう情報提供する、③これらの症状を訴えて受診した患者には、ワクチン接種歴を聴取するとともに、心筋炎・心膜炎を疑った病歴聴取、身体所見、検査(心電図、血中の心原性酵素、心臓エコー検査など)―などの対応を呼びかけている。

(小沼紀子)